現在ロシアではソ連がかなり原型に近い状態で復活している状況で、まるで冷凍マンモスが蘇生してのしのしと歩き出した、あるいは冷凍マンモスから抽出された遺伝子を移植したことで、ゾウがマンモスになって暴れ出したような状況である。古生物学者にとって目の前にマンモスが現れれば興奮必至であるのと同じで、歴史研究者にとっても遺伝子マンモスの暴走は全面的に研究しなければならない。 プリゴジンによる囚人の使役も、巨大な古代象の鼻か足か尾か、とにかく体の一部である。9世紀のキエフ・ルーシ以来、ロシアでは国土とそこに住む人間とは、君主の所有物である。それらは君主(ゴスダーリ)=国家(ゴスダルストヴォ:君主の財産・家産)によって使役される。マックス・ウェーバーはこの事象をライトゥルギーと呼び、ロシアの右派リベラルのピョートル・ストルーヴェ、ドイツの国制学者オットー・ブルンナー、それに亡命ポーランド人歴史家であるアメ