Kou音楽雑感と読書感想を主に、初老の日々に徒然に。 ブログタイトル『氷雨月のスケッチ』は、はっぴいえんどの同名曲から拝借しました。 この稿は、あの伝説のロックバンド、はっぴいえんどの全曲解説集です。 いろんな本や雑誌に書かれていた、各曲の評論やコメントをあつめてみました。 音楽評論家やライターの方たちの表現は、ときに難解な面があります。 しかし一方で、ストンと腑に落ちる言葉も多々あります。 自分の好きな音楽と、想いを共有する人たちがいることは、とてもうれしいことです。 この歓びが、本稿作成の動機です。 引用させていただいた、執筆者のみなさまに感謝します。 さてまずは、ファースト・アルバム、通称『ゆでめん』です。 ご存知のように、日本語ロック黎明となる記念碑的な作品です。 その各曲の創作背景などなど、貴重な文字資料をお楽しみください。 加えて、ゆでめんジャケットの裏面を中心に、メンバーの当
比類なき輝きを放つ作品群を遺すとともに、「脱原発」など社会運動にも積極的に取り組んだ無二の音楽家、坂本龍一。その多面的な軌跡を「時代精神」とともに描き出す佐々木敦さんの新連載、始まります。*本連載は大幅な書き下ろしを加えて『「教授」と呼ばれた男――坂本龍一とその時代』として2024.4.11に刊行しました 2023年4月2日日曜日の夜9時過ぎ、私は新宿某所で夕食を摂っていた。 ふとスマートフォンに目をやると、契約しているニュース・アプリから通知が届いていた。そこには「坂本龍一の死」が報じられていた。私はスマホから一瞬目を逸らし、小さく深呼吸をしてからもう一度、その画面を凝視した。 見間違いではなかった。坂本龍一が、坂本さんが、逝ってしまった。記事には数日前の3月28日に亡くなったとあった。享年71。がんとの闘病が伝えられていたとはいえ、早過ぎる死というほかない。私は突然の訃報に接した動揺と
美輪明宏氏(写真=Japanese actors and singers Files./PD-Japan-oldphoto/Wikimedia Commons) 歌手・俳優の美輪明宏さんは、三島由紀夫の戯曲『黒蜥蜴』で主演を務めた。2人が初めて出会ったのは、美輪さんがまだ16歳の時だったという。文芸評論家の岡山典弘さんの『三島由紀夫が愛した美女たち』(MdN新書)より、2人の出会いの場面を紹介しよう――。 【写真】三島由紀夫氏 ■生まれ育ったのは“女の地獄” 三島由紀夫が、その美貌と演技力と歌唱力とを絶賛した現代女形の美輪(丸山)明宏。 明宏(旧名・丸山臣吾)は、昭和十年に長崎の丸山遊郭で生まれた。三島由紀夫との年齢差は十歳である。明宏の両親は、丸山遊郭の一画でカフェ「新世界」を経営していた。花街で幼少期をおくった明宏は、“男の天国”が実は“女の地獄”であることを知った。 家の隣には、劇場
2019 年末に初めて確認された新型コロナウイルスの感染者が、増加の一途をたどっています。医学が発達し、衛生面でも格段に向上した現代社会でなぜ、これほどまでに拡大するのでしょうか。『感染症の世界史』の著者、石弘之さんに緊急でお話をうかがいました。 【あわせて読みたい】 ▷人類史が教えるパンデミック収束の道筋と、コロナ後の世界(2021.2.5 更新) ※リンクはページ下部にもあります。 風邪の原因でもある実は身近なコロナウイルス ――最初に石さんの紹介をしたいと思います。新型コロナウイルスのニュースが増えていますが、石さんと感染症のかかわりは深いものがあります。『感染症の世界史』のあとがきを読んだときの衝撃は忘れられません。 人間ドックで書類をわたされて、検診の前にさまざまな質問の回答を記入せよという。面倒な書類なのでいい加減に欄を埋めて提出したら、若い看護師さんから「既往歴をしっかり記入
妻が、今朝、教えてくれた、昨夜のETV特集 「人類はこの危機を乗り切ることができるのか?」 ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」、すごかった。特に、ジャック・アタリ氏。 妻が、今朝、教えてくれた、昨夜のETV特集 「人類はこの危機を乗り切ることができるのか?」 ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」 歴史学者…ユヴァル・ノア・ハラリ,経済学者・思想家…ジャック・アタリ,政治学者…イアン・ブレマー, 【キャスター】道傳愛子 もう必見というか、見ない人とは話をしませんレベルで必見。と思ったが、オンデマンドにまだ上がっていないな。 NHKがこれを制作し放送するということが、どれほどの勇気あることか。NHKの、残された最後の良心が作った番組です。 そして、インタビュアーとしての道傳さんの、すばらしい仕事。 ハラリ氏、アタリ氏が、
イギリスのレスター出身のアシーナ・オーチャードは、明るくて活発な12歳の女の子でした。スポーツが好きで、特にボクシングがお気に入りだった彼女は家では4人の妹と3人の弟の面倒を見る家族思いの姉でもありました。 クリスマス前のある日、アシーナは自分の額にコブのようなものがあるとに気付きます。ぶつけた覚えはなく痛みも無かったため、すぐに消えるだろうと心配はしていませんでした。しかし同じ日、アシーナは自宅のキッチンで意識を失います。病院での検査の結果、コブだと思っていたものが骨肉腫であることが判明します。 骨肉腫は、骨にできる悪性腫瘍のガンです。7時間にもわたる外科手術で腫瘍が摘出され、化学療法が開始されました。しかし、進行性の速い癌は移転を続けます。ベッドから起き上がれない状態になってしまった娘を、両親は見守ることしかできませんでした。 「アシーナには、建設的に考えて欲しい、泣かないでと言われま
音楽の世界で、希有な女性シンガーの才能を示す称号はいくつもある。たとえば「歌姫」「ディーヴァ」、現在の音楽カルチャーにおいては「アイドル」も特別な響きを持つ。だが、真に刮目すべき才能に対して、私たちはどんな言葉を与えることができるだろう。言葉を失うほどの才能、おそらくCoccoはそんな存在の1人だ。1996年のデビュー以来、数々の名曲を発表し、同時に同じ数だけの断絶を経験してきた彼女は、今、新たなステージに立とうとしている。来年1月に東京・大阪で上演が予定されている舞台『ジルゼの事情』がそれだ。 映画『KOTOKO』でスクリーン越しに女優として現れた彼女が、今度は私たちの目の前に生の身体を現そうとしている。既に初回発売分のチケットは完売したことからも、新たな展開に対する期待の大きさは察することができる。今、なぜCoccoは演劇に向きあうのだろうか。 『KOTOKO』に出演したとき、「演技は
俺、戦国時代だったら真っ先に殺されてると思います。 ―あくまで自分の身近なところから興味と考察を広げていく、みうらさんの姿勢とは違うわけですね。冒頭でご自身のことを「へうげもの」だとおっしゃいましたけど、『へうげもの』の主人公である古田織部のような登場人物に共感するところはありますか? みうら:いや、こっちは誰かに仕えてないし、切腹もないから気楽だよ(笑)。俺、戦国時代だったら真っ先に殺されてると思います。どんな戦いでも、最前線送りでしょ。いらない人間だから。 ―みうらさんにとって「へうげてる」というのは、どういう感覚なのでしょう? 「粋」という考え方とは違うのでしょうか。 みうら:粋という考えは全くないですね。粋はもっとシュッとしてる人のことだと思いますよ。俺はシュッとなんか一度もしてないもん。それに、「粋」なんて聞くと突然面白くなくなるものなんですよ。「これはおかしみがありますね」と言
今まで、ほとんどをアイリッシュ・ミュージックについて書いてきたが、自分のひとつの歴史であるブルーグラスについてすこし書いてみよう。 バンジョーという楽器を始めたのはフォークソングからだった。1964年か65年くらいだったと思う。 ピアレスという日本製のバンジョーは確か15000円くらいで、当時としては目の玉が飛び出るくらいの値段だった。他にナルダンという会社のものもあって、12000円くらいだった記憶がある。 ピアレスのほうが、音にメリハリがあるような気がして、そちらを選んだのだと思う。なんといってもバンジョーなる楽器にそうそうお目にかかれる時代ではなかっただけに、よくは分からなかったのだが。 とにかくブラザース・フォアをお手本にしてポロポロと弾いていたが、幾つかの彼らのレコーディングで衝撃的な音を聴いた。 ダーリン・コリーという曲でイントロからずっと流れているバンジョーは明らかに違ってい
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