急変する世界経済 つい一ヶ月前まで日本経済の先行きについては楽観論一色であった。多くのエコノミストは2008年末まで現在の好況、といっても実質で2%程度の成長だが、が続くと主張していた。すでに2002年2月から始まった今回の景気拡大は昨年10月に57ヶ月と戦後最長の長さを更新していたから、超長期の景気拡大になるものと予想されていた。国際機関も概ねそのような見通しを発表していた。たとえば7月25日に発表されたIMFの最新予測では日本の2007年、8年の成長率は2.6%、2.0%と、4月の見通しを上方修正したほどである。その中で筆者のみは2007年には景気循環は下降局面に入ると見ていたが、かかる主張は少数説であった。 状況は8月に入って急速に変わった。米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)問題が予想外にも世界的な広がりを持つものであることが次第にはっきりしてきたからである。この問題