東日本大震災の発生から11日で13年となった。地震や津波で被災した各地では、犠牲者を追悼する行事などが開かれた。甚大な被害を生んだ災害の教訓をしっかりと継承する。その決意を新たにしたい。 震災では、津波などで東京電力福島第1原発が全電源を喪失した。その結果、原子炉内の核燃料が溶け落ち、建屋が水素爆発を起こして大量の放射性物質が放出された。 放射能に汚染された福島県には約310平方キロの帰還困難区域が残る。今も西宮、宝塚、尼崎、伊丹、芦屋市を合わせた面積より広い範囲の立ち入りができない。同県の2万6千人余りが避難生活を余儀なくされている。事故による影響の深刻さを改めて直視しなければならない。 ◇ 第1原発では2023年8月、敷地内にたまり続ける処理水の海洋放出を始めた。処理水は、溶け落ちた核燃料(デブリ)を冷やすために注入した水などから放射性物質を除去したものだ。ただし放射性物質トリチウムは