著者: 沼澤成毅 自室、スタジオ、ライブハウス、時にはそこらの公園や道端など、街のあらゆる場所で生まれ続ける音楽たち。この連載では、各地で活動するミュージシャンの「街」をテーマにしたエッセイとプレイリストをお届けします。 夏が終わると、灼熱の暑さがうそだったかのように、ひんやりとした空気と静寂が街全体を覆っていく。この時期の風景は特に好きだ。 山形県山形市。真っ先に思い出されるのは、うだるような夏の暑さと雪が降り積もる冬の光景。季節による寒暖差が大きく、四季折々で鮮やかな彩りを見せる。 都内の大学を卒業後、コロナ禍の影響で地元に帰れない時期が数年続き、その間に東京で就職した。生活が移り変わっていく中で、音楽だけはどうしても辞められず、仕事をしながら何とか続けている。 山形市にいたころは想像もできなかったが、上京後、音楽を通じてたくさんの出会いを経験してきた。 何者でもなかった自分が今送って