ブックマーク / jp.ign.com (21)

  • 映画『バブル』レビュー:「こういうゲームをやったような気がする」という疑似記憶が作られるアニメ(悪い意味で)

    まるでビデオゲームをアニメ映画にしたみたいな作品だ……。『バブル』を観ながら僕はそう思っていた。オリジナル作品なのに、なぜかゲーム原作映画によく似た空虚さがそのまま出ている。 幸いIGN JAPANはビデオゲーム映画のジャンルを取り扱う媒体だ。弊誌を両ジャンルのファンが読んでいることも多いだろう。せっかくなので「ビデオゲームを原作とした映画みたいな作品」がもたらす問題ごと、作を評してしまおう。 なぜだかこんなアクションゲームを遊んだような気がする ……僕は『バブル』を観ているあいだ、頭の中で「このアニメにはこんな感じの原作ゲームがあったんじゃないか。なんならプレビューすら書いたような気がする」って疑似記憶ができあがっていくのを感じた。こんな具合だ。 原作の『バブル』(2018年)は “新機軸の対戦。駆け抜けろ。飛べ。奪え”というコンセプトを持つ、マルチプレイヤーによるパルクールバトルア

    映画『バブル』レビュー:「こういうゲームをやったような気がする」という疑似記憶が作られるアニメ(悪い意味で)
    kim-peace
    kim-peace 2022/05/31
  • 完全個人の開発者が、いかにして2万本のヒット作をなしえたか――『シロナガス島への帰還』開発者インタビュー

    シロナガス島という奇妙な名前の島がある。ベーリング海の洋上、鉛色の空と海に押し潰されるように浮かぶ、絶海の孤島だ。ニューヨークに事務所を構える、探偵・池田戦(いけだ せん)は相棒の天才少女・出雲崎ねね子(いずも ざき ねねこ)とともに、シロナガス島に向かうフェリーに乗り込む。依頼人の願いを請け、彼女の父が残した謎を明らかにするために……。 以上は、2020年3月、完全個人制作のADVとしてSteamでリリースされたビジュアルノベル『シロナガス島への帰還』(以下、シロナガス島)の導入部である。物語の冒頭は、まさしく孤島モノの様相をていしているが、クラシックな要素はそれだけではない。コマンド選択システム、画面内の物品を調べるポイントクリックシステムなど、シロナガス島は意外なほどまでに「王道ADV」で構成されている。ともすれば、日々生み出される幾多のインディーゲームに埋もれかねないほどに。 ……

    完全個人の開発者が、いかにして2万本のヒット作をなしえたか――『シロナガス島への帰還』開発者インタビュー
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    kim-peace 2021/11/29
  • 社史にしてサブカル史にしてビジネス書――期間限定で無料プレゼント中の『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』がいかに貴重であるのか

    11月30日までの期間限定で「BOOK☆WALKER」で配信中の『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』が話題になっている。KADOKAWAグループが1980年代から取り組んできた事業を、KADOKAWA・DWANGO時代に社長や会長を務めた佐藤辰男が振り返った「社史」だが、その内容はといえば、社史というお堅いイメージとは正反対。『機動戦士ガンダム』、『ロードス島戦記』、『涼宮ハルヒの憂』といった作品タイトルが並び、ライトノベルやアニメが世の中に広がっていった様子が、同時代的証言と資料的論証によって綴られたとてつもなく貴重ななのだ。 11/30まで『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』無料配信中📖‼ KADOKAWAの重要な転換期を編纂した新たなる社史!! 期間限定ですので是非この機会に手に入れてみてください✨https:

    社史にしてサブカル史にしてビジネス書――期間限定で無料プレゼント中の『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』がいかに貴重であるのか
  • 郵便を使ってプレイするSFゲーム『クレギオン』シリーズが30周年を記念してウェブ版として復活

    ナレッジネットワークは1990年に開始されたプレイバイメール(PBM)形式のSFゲーム「クレギオン」シリーズの30周年を記念し、シリーズ最新作『新クレギオン 星還のアレイダ』を発表した。作はフロンティアワークスのクリエイティブRPGとして発表され、オンライン上で行うプレイバイウェブと呼ばれる形式のゲームだ。 「クレギオン」シリーズは1990年から2002年まで運営されていたPBMと呼ばれる読者参加型のゲームだ。若いゲーマーには馴染みがないかもしれないが、90年代にはTRPGのブームと共に郵便を利用したPBMが流行していた。「クレギオン」シリーズは中でもハードなSF的特徴を持った作品で、TRPG作品や野尻抱介による小説としても展開された人気シリーズである。 30周年を記念して、作の公式サイトも改めてオープンした。公式サイトでは同シリーズの今後の展開やファンの交流、新資料を含むクレギオンの

    郵便を使ってプレイするSFゲーム『クレギオン』シリーズが30周年を記念してウェブ版として復活
    kim-peace
    kim-peace 2020/04/30
  • 中華娯楽週報 第67回:大型ゲーム展示会China Joyで男がPS4を破壊!中国産ゲーム『原神』の“パクリ騒動”を徹底解説

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。前回は宮崎駿と中国人の深い縁、そして両者を結び付けた海賊版の決定的な役割を分析した第65回に続き、中華圏における日製アニメの圧倒的人気と、海賊版が作り出した日中文化交流を検証した。“正当性”や“違法性”といった視点だけでは、海賊版の文化的意義を見失ってしまう。“正当化”はしないが、海賊版の文化的価値を“全否定”することもできない。詳しくは第66回をチェックしよう。 さて、今回は最近の中国で発生したゲーム関係の大変な騒動にフォーカスする。8月初旬に上海で開催された中国最大のゲーム展示会China Joyにて、一般参加者の男性が1台のPlayStation 4を会場内で派手に破壊する様子が、Kotakuなど多くのメディアに報道

    中華娯楽週報 第67回:大型ゲーム展示会China Joyで男がPS4を破壊!中国産ゲーム『原神』の“パクリ騒動”を徹底解説
    kim-peace
    kim-peace 2019/08/16
  • 『東京クロノス』レビュー

    アドベンチャーゲームはコンピューターゲーム歴史の中で最も古典的なジャンルのひとつで、テキストとイラストを組み合わせてキャラクターやその場の状況を表現し、さまざまな課題や謎をプレイヤーに解かせながらゲームが進行していく。 推理ものや育成ものが生まれたり、アニメーションによる表現やLive2Dなど技術的な進化も見せているが、ゲーム性や表現手法に大きな変化は生まれていない。それは今回レビューを行うVRゲームの『東京クロノス』も同じで、基的にはキャラクターの立ち絵を見ながら流れてくるテキストを読んでいくビジュアルノベルのような形式を採っている。 静止したキャラクター表現をうまく使い、極限の臨場感を演出 導入部分が始まると、目の前には主人公の櫻井響介が立っている。よく見ると彼は自分の動きをまねて動いている……いや違う、これはVR世界で生まれ変わった自分の姿だ。見た目こそ違えど、それでも自分の意思

    『東京クロノス』レビュー
    kim-peace
    kim-peace 2019/03/22
  • どこまでもロボットもの好きの心を揺さぶる逸品『プロジェクト・ニンバス:RISE MIRAI』

    数多のロボットもののお約束のうえに成り立ったストーリーが複数のエースたちの視点で描かれるという形式は変わらない。水上要塞からの絶え間ない砲撃をかいくぐって砲台を破壊したり、居住施設を狙って大量に飛来するミサイルを撃ち落とすといったお約束を踏まえた豊富なシチュエーションも健在である。 変わった点といえば1章、2章では演出らしい演出はほとんどなく、それはもう淡々とした雰囲気であったが、3章、4章についてはイラストやキャラクターの3DCGを利用した演出の強化が図られている。演出の強化に加えて、主人公機の乗り換えという燃えざるを得ない展開。邂逅、協力、裏切り、決意など能動的に動くキャラクター達。壮大なBGMや声優の熱演など幾多の要素が合わさって、1、2章とは比べ物にならない程の盛り上がりを見せてフィナーレを迎える物語は必見だ。 某破壊天使にも似た「RISE MIRAI」の象徴的機体「GCTXX 暁

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    kim-peace 2018/12/03
  • 講談社が「小説家になろう」作品を書籍化する「レジェンドノベルス」を創刊

    講談社が小説投稿サイトの注目作品を刊行する小説レーベル「レジェンドノベルス」を10月5日に創刊する。第1弾として「小説家になろう」への投稿作品から4作品を刊行し、以後も毎月5日に4冊ずつ出していく。ティーンを中心に20代までが主な読者対象となっているライトノベルよりも広く、30代や40代のかつてライトノベルを読んでいた大人層がレーベルのターゲット。「全部傑作! ハズレなし」をコンセプトにして、小説投稿サイトから誰が読んでもおもしろいと思える独自性の強い作品を選び、刊行していくそうだ。 創刊ラインナップは4作品で、そのうちの『女王陛下の異世界侵略 1』は第616特別情報大隊の著作。ストラテジーゲームで悪の陣営を使用していた主人公が、ゲームの中にそっくりな異世界に入り込み、そこで蟲たちから女王と称えられて隣国へと戦争を仕掛ける。装画は上遠野浩平「螺旋のエンペロイダー」シリーズや諸口正巳『常夜ノ

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  • 中華娯楽週報 第19回:日本大好き中華オタクを怒らせる差別表現の境界とは?“ラノベ騒動”で見せた「底線」(前編)

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。3週間にわたる武侠小説の大特集(前編、中編、後編)の後、E3の頃からしばらくコラムをお休みしていたが、今回はE3の直前に発生したとある出来事をきっかけに、日に憧れている「中華宅(中華オタク)」が人種差別に対する姿勢と態度を検証したい。 日小説投稿サイト「小説家になろう」で2億近くのPVを獲得した、まいんによるライトノベル『二度目の人生を異世界で』は、5月下旬にテレビアニメ化が決定した。ところが、原作者まいんによる、中国韓国に対する差別発言で、6月上旬にはアニメの主要キャスト4人が相次いで降板し、ついにはアニメ化が中止。ホビージャパンによるラノベの書籍化およびKADOKAWA刊行の漫画版が先行しており、両方を合わせて

    中華娯楽週報 第19回:日本大好き中華オタクを怒らせる差別表現の境界とは?“ラノベ騒動”で見せた「底線」(前編)
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    kim-peace 2018/07/24
  • 【SF史に残る(べき)ゲームたち】第0回 ゲームを正当に評価するために

    ゲームは、現代を代表する表現形式である。疑うならば、電車に乗れば良い。子どもも大人も、スマホを開き、ゲームに興じている。 これだけの大勢が日常的に接しているメディアである。人々の感性や認識に影響を与えないわけはない。しかし、そうであるにも関わらず、これまで、批評・研究は、正当な目を注いで来なかった。その理由は、人類が手に入れた新しい表現形式・メディア・芸術であるゲームの正当な価値を見誤ってきたからでもあるし、既存の方法論ではゲームを論じることが困難であった、という理由にも拠るだろう。 ゲームは、少なくとも映画が払われてきたのと同じぐらいには、注目され、論じられてしかるべき表現である。映画も生まれてまだ一〇〇年ちょっとしか経っていない新しいメディアであり表現形式であり、最初は単なる見世物であり神経を刺激するだけのものと考えられてきたが、二〇世紀における映画・映像が、単なる娯楽に留まらず、人々

    【SF史に残る(べき)ゲームたち】第0回 ゲームを正当に評価するために
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    kim-peace 2018/02/13
  • 餓死する「METAL GEAR SURVIVE」は本格的なサバイバルゲームだった!シングルプレイ体験レポ

    コナミ社にて作のシングルプレイを2時間ほど体験してきた。以前、COOPを試遊した際はタワーディフェンスゲームとしての側面しか味わえなかったが、シングルプレイでは打って変わって体調管理(空腹や水分補給)が非常に重要なサバイバル要素を堪能できた。 ストーリーはどうなってるの? 「真・女神転生 STRANGE JOURNEY」の「アーサー」を彷彿とさせるAI「ヴァージル AT-9」が作のマスコットキャラクターになるかも? 従来作を遊んでいるファンにとってまず気になるのがストーリーだろう。序盤の印象はざっくばらんに言うと異世界脱出物。「ディーテ世界」と呼ばれる異世界へ赴いた無口な主人公(プレイヤー)が、調査目的だったりなぜか迷い込んでしまったりしたそのほかのキャラクターたちとともに、この世界の謎を解き明かしつつ協力して現実世界への脱却を図る。少なくとも序盤はそういう筋書きになっていた。ワンダ

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    kim-peace 2018/02/06
  • もうあの頃には戻れない快適な狩猟生活「MHW」で大幅に改修された機能や新要素15選

    これまでにない快適なゲームプレイを実現している「モンスターハンター:ワールド」はこの1作にして、あらゆる意味で大幅に前進し、まるでフィーチャーフォンがスマートフォンに進化したようだ。早くもプレイ時間が15時間を越え、もうこの快適な狩猟生活に慣れてしまった筆者だが、今後発売されるシリーズの全てに実装してほしい改善点や新要素を15個に絞ってまとめた。(※マップのシームレス化については、引き続き3DSで発売される可能性を考えた上で実現は難しいと判断したので、除外している。) 新要素(モンスター図鑑、ウィッシュリスト、スリンガー...etc) 今作で新たに追加された要素の中でも特に引き継いで欲しい6つの機能。 1.モンスター図鑑 狩猟数やサイズの記録しかされてこなかったモンスターに関するゲーム内目録が大幅にアップデートされ、もはや新要素と呼べる「図鑑」に生まれ変わった。今作では、各大型モンスターの

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    kim-peace 2018/02/02
  • 「ガールズ&パンツァー ドリームタンクマッチ」開発者独占インタビュー

    バンダイナムコエンターテインメントは2月22日に「劇場版 ガールズ&パンツァー」を題材とした「ガールズ&パンツァー ドリームタンクマッチ」をPS4に向けて発売する。作は劇場版のストーリーを追体験できるだけでなく、戦車にデカールや塗装を行うことでマイ戦車をカスタマイズできる。さらに前作PS Vitaで発売された「戦車道、極めます!」で実装されなかった5対5のオンライン対戦も実装となっている。 今回はチーフプロデューサーの佐竹伸也氏と開発プロデューサーの又野健太郎氏、そして宣伝担当の飯島雄也氏に作の見所、ポイント、そしてガルパンへの熱い思いをお話いただいた。 左から又野氏、飯島氏 ガルパンらしさを表現するために動きの速さやドリフト、ドリフトからの砲撃などは実装するように心がけました。 ――このゲームを開発するに至った経緯はなんだったのでしょうか? 佐竹:前作のPS Vitaソフト「ガールズ

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    kim-peace 2018/01/31
  • 日本人を装っていたマーベル・コミックの新編集長が物議、本人が声明を発表

    今月中旬、マーベル・コミックはアクセル・アロンソに代わる新しい編集長として、副社長のC.B.セブルスキーを指名した。ところが、この判断は大きな議論を巻き起こしている。セブルスキーは、過去の一時期(2004年~2005年)において「Akira Yoshida(吉田晶)」という日人っぽいペンネームを使用し、その人物のバックグラウンドまで創り上げて日人を騙っていたのだ。日漫画風の作品を創作していたAkira Yoshidaが白人だったという事実を受け、アメコミ界に激震が走っている。 まずはセブルスキー人がIGNに対して発表した声明を見てみよう(声明の内容は、こちらの英語記事を参照している)。 私は偽名であるAkira Yoshidaの使用を約1年でやめました。分かりにくいことでしたが、この名前の元で私は創作やコミュニケーション、プレッシャーについて様々なことを学びました。未熟で、まだ色

    日本人を装っていたマーベル・コミックの新編集長が物議、本人が声明を発表
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    kim-peace 2017/11/30
    >バックグラウンドのストーリーを創作した。(中略)「富士見書房」という日本の出版社に就職
  • 「どうぶつの森 ポケットキャンプ」は、シリーズの魅力である“スローライフ”を“労働”に変えた

    そしてこの言葉は、単純に遊びとしてゲームを遊ぶわれわれにも関係してくる。そう、成果や結果が欲しいと思わされてしまった時点で、そのゲームは“労働”になるのだ。「どうぶつの森 ポケットキャンプ」(以下「ポケ森」と表記)はそのことを改めて教えてくれた。 「どうぶつの森」シリーズは、どうぶつたちとのコミュニケーションとスローライフを楽しむゲームである。プレイヤーは自然豊かな村へ引っ越し、花を愛でてもよいし、お金を稼いでもよいし、家を好きなように飾ってもよいし、どうぶつたちと仲良くしてもよい。好きなことをして嫌いなことは無視し、のんびりと楽しめるという珍しいゲームである。 しかし、2017年11月22日よりスマートフォン向けにリリースされた「ポケ森」は毛色が違う。基プレイ無料タイトルということでシステムが変わり、ゲーム内容にも影響があった。無論、ガチャを回しまくるというわけでもないし、マルチプレイ

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    kim-peace 2017/11/27
  • 「VA-11 Hall-A」は、南米文学史に加えられるべき傑作である

    (ヴァルキューレたちは)戦死者たちの魂を集めて、それをオーディンの雄大なる楽園へと運んでいく。天井が黄金でできていて、たいまつではなく抜き放たれた剣の数々に照り映えるそこの「戦死者の大広間」、ヴァルハラで、戦士たちは夜明けから日暮れまで戦った。そのなかで斃れてしまった者たちもふたたび生き返り、そこで一同は神の宴を共にし、不死の猪の肉や角の盃に盛った尽きない蜂蜜酒をふるまわれた。 ――J.L.ボルヘス、M.ゲレロ著『幻獣辞典』、項目「ヴァルキューレ」より ゲームのなかに展開される虚構世界は、いつもヴァルハラめいている。RPGでも、FPSでも、STGでも、私たちはあらゆる魂をはじめからやりなおし、あらたな戦いに向かうことができる。先日、日語版がリリースされた名作「VA-11 Hall-A」も、この類型の例外ではない。しかしその手段は、こんにちのビデオゲームにおいて、もっとも先進的なものだ。

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    kim-peace 2017/11/27
  • Netflixは日本のアニメをどう変えるのか?作品とクリエイターのグローバル化の行方

    Netflixのアニメに対する並々ならぬ力の入れ具合が伝わる。 板垣恵介の人気マンガ「バキ」のアニメ化、「聖闘士星矢」の作品冒頭からの再アニメ化、「鋼の錬金術師」や「交響詩篇エウレカセブン」でお馴染みのアニメスタジオ・ボンズによるオリジナル企画「A.I.C.O. -Incarnation-」、さらにドワンゴとLIDENFILMSによる「LOST SONG」……など。今回初公表の作品が目白押しだ。さらに発表済の「DEVILMAN crybaby」、プロダクションI.Gのオリジナル企画は新たにタイトルを「B: The Beginning」として最新情報が明かされた。 Netflixは2015年9月に、鳴物入りで日に上陸した。その際に、日でのオリジナルアニメ開発に意欲を示し注目を浴びた。しかし、それから1年半あまりオリジナルタイトルの発表は少なく、肩透かしとの声もあった。 今回の発表は、これ

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    kim-peace 2017/08/08
  • 【お知らせ】弊誌「電遊奇譚」でおなじみの藤田祥平が「SFマガジン」で短編小説デビュー

    2016年11月から15回に渡り、IGN JAPANで掲載してきた「電遊奇譚」。3月に好評のうちに連載は終了したが、作者である藤田祥平氏のファンにはうれしいお知らせがある。早川書房発行の雑誌「SFマガジン」4月25日発売号に藤田氏の初の短編小説が掲載される。こちらはビデオゲームとは直接関係のないものの、ソリッドでありながら不思議な雰囲気を持つ藤田氏のファンなら楽しめる内容だろう。気になるタイトルは……こちらの「SFマガジン」塩澤編集長のブログでチェックしてほしい。他にも映画Blame!」や「メッセージ」など、IGN JAPAN的に気になるコンテンツが掲載されている。 さらにIGN JAPANからも藤田ファンへのサプライズがある。初の短編小説の刊行を祝って、次の日曜4月23日に「電遊奇譚」のボーナストラックが公開される。題して「【電遊奇譚:エキストラボール】童貞ではない男とのテーブル・フッ

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    kim-peace 2017/04/27
  • 全編一人称視点のまさにFPS映画「ハードコア」レビュー

    赤と黒の色味だけに統一されたスローモーションの映像のなかで、クローズアップされた人体がゆっくりと破壊されていく。首筋に突き刺されたナイフが喉を貫通して反対側に出ていくが、皮膚の震えまで知覚できるほどのスローなので、喉というよりはプリンか何かにスプーンを突き刺したみたいに見える。レンガで殴られる頭、銃弾に撃ち抜かれる眉間、ナイフに突き刺される腹などの映像がひとしきり続くが、その最中に鳴っている音楽は、Stranglersの名曲、「Let Me Down Easy」である。 歴代FPSゲームへのリスペクトにあふれた、完全一人称視点のアクション・ムービーだ。 「ハードコア」は、歴代FPSゲームへのリスペクトにあふれた、完全一人称視点のアクション・ムービーだ。冒頭のタイトル映像のあとに編が始まると、それまで鳴っていたStranglersから一転して完全に音がデッドになり、赤っぽい映像に切り替わる

    全編一人称視点のまさにFPS映画「ハードコア」レビュー
    kim-peace
    kim-peace 2017/04/25
  • 【電遊奇譚:其十五】九州自動車道のジャックポット

    山口県西部の日海沿岸につづく深夜の国道191号線を下関に向けて南下しているとき、まるで一日中遊び回っていた犬のように汚れているが助手席で言った。 「ねえ、あたしそろそろお風呂に入りたい」 「おれもだ」と私は答えた。 私も犬のように汚れていた。だからこんな夜に、わけのわからない真っ暗な海沿いの道を、下関にむけて車を飛ばしているのだ。どこかの湾の入口のカーブから、湾の出口あたりを走っている車の光の列が見えたが、それは車というよりも、よく訓練された光る蟻の隊列のように見えた。 「なあ、下関に着いたら、なんかうまいもんおう」と私は言った。 「お風呂のあとね。なんにする?」 「下関と言えば、河豚」 「決まり。」 2016年の大型連休に私たちが辿ったルート。総走行距離1,354km、所要20時間15分。観光をしているので、実際はもうすこし長いはずだ。 彼女と出会ったのは7年前だった。永遠に続く幸

    【電遊奇譚:其十五】九州自動車道のジャックポット
    kim-peace
    kim-peace 2017/04/06