作家の特別書き下ろし掌編を収めたフリーペーパーを配布する楽しい書店フェアを、河出書房新社が始めた。 「『文芸』創刊80周年記念フェア」と銘打ち、同誌上で活躍する青山七恵、山崎ナオコーラ、中村文則、松田青子さんらのフリーペーパーを作成し、5月から随時、全国114の書店に置く。 青山さんのペーパー=写真=には、「微風」と題した五官を刺激するような1編を収める。折しも、「わたあめのような富」におぼれて育った小さな姉妹のその後を描く表題作を収めた小説集『風』を出版したばかりだ。併せて読めば、心の中に小さな砂嵐が舞い立ってくる。
全国で18日に一斉発売された村上春樹さん(65)の短編小説集「女のいない男たち」(文芸春秋)の収録作「イエスタデイ」で、文芸春秋1月号掲載時にあったビートルズ「イエスタデイ」の替え歌の歌詞を、単行本化に際し大幅に削除していたことがわかった。 同作の雑誌掲載時には、登場人物の1人が「イエスタデイ」を関西弁で改作して歌うという設定の歌詞19行が記されていたが、単行本では、この歌詞の冒頭部分「昨日は/あしたのおとといで/おとといのあしたや」だけになっている。 村上さんは同書「まえがき」で、該当部分を「僕の創作」とし、「(「イエスタデイ」の)著作権代理人から『示唆的要望』を受けた。(中略)歌詞を大幅に削り、問題が起きないようにできるだけ工夫した」などと説明した。
ノーベル賞作家の大江健三郎さん(79)が一人で選考を行う文学賞「大江健三郎賞」が7日、岩城けいさん(43)の『さようなら、オレンジ』(筑摩書房)に贈られる第8回で終わることが明かされた。80歳になる前に節目をつける潔い決断となった。 この賞は、大江さんが年に1回、「文学の言葉」を用いた作品の中から選び、受賞作は英仏独語などいずれかの言語に翻訳出版されるのが特徴だった。創設にあたって2006年10月、大江さんが独フランクフルトでの講演で、日本文化が「閉鎖的」になろうとしていると語ったことに、風穴を開ける強い意志を感じたのを思い出す。 賞は結果として、主に中堅になる手前の作家たちの背中を押し続ける形となった。第1回は、芥川賞受賞から5年を迎えた当時34歳の長嶋有さんに贈られた。文学性と大人になりきれなさを併せ持つこの世代の作家を象徴するような作風を選評で「『ヘタウマ』の手練れ」と見事に称した。
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