「敵よりも大いなる兵力を集結して敵を圧倒撃滅するというのは、古今東西を通じ常勝将軍といわれるものが確立し実行してきた鉄則であった。日本の織田信長も、若いころの桶狭間の奇襲の場合は例外とし、その後はすべて右の方法である。信長の凄味はそういうことであろう。…日本軍は、日露戦争の段階では、せっぱつまって立ち上がった桶狭間的状況の戦いであり、児玉の苦心もそこにあり、つねに寡を持って衆をやぶることに腐心した。が、その後の日本陸軍の歴代首脳がいかに無能であったかということは、この日露戦争という全体が「桶狭間」的宿命にあった戦いで勝利を得たことを先例としてしまったことである。陸軍の崩壊まで日本陸軍は桶狭間式で終始した」 (司馬遼太郎『坂の上の雲』) 組織の慣性 前回と前々回は組織構造、および組織のルールを考えました。そして、ルールが、いったん決まるとなかなか変わらず、それを墨守するために、「老いた官僚制