戦争と交渉の経済学:人はなぜ戦うのか 作者:クリストファー・ブラットマン草思社Amazon 本書は経済学者かつ政治学者であるクリストファー・ブラットマンによるなぜ戦争が生じるのか,どうすれば防げるのかを扱った一冊.基本的に,「戦争は双方ともにコストが大きいので,交渉で戦わないことに双方合意する余地がある場合がほとんどであり,戦争に至るのは例外になる」というゲーム理論的理解を踏まえ,「どのような条件があると戦争になりやすいのか,戦争になりにくくするにはどうすればいいのか」を議論するものになる.原題は「Why We Fight: The Roots of War and the Paths to Peace」. 序章 本書はシカゴの下町の若いギャングのナワバリ争いと北部ウガンダの内戦の逸話から始まる.双方とも当事者たちが争いから逃れられず延々と続く悲惨な状況にある.著者は武力紛争ほど社会の発展