【北京=矢板明夫】中国共産党、政府、人民解放軍はそれぞれ独自の情報機関を抱えており、外国に工作員を送っている。 元シドニー駐在の中国の外交官で2005年にオーストラリアに亡命した陳用林氏の証言によれば、工作員たちは外交官やメディアの記者、国有企業の社員、または留学生などの形で海外に送られる。 共産党内の工作機関は、外交担当の中央連絡部と、台湾、香港及び世界中の華僑団体を担当する統一戦線部が中心。政府の情報機関としては国家安全省がある。そして今回、中国大使館の書記官が関係しているとされる解放軍の総参謀部2部は、戦争時代の軍事情報部が前身で、中国の情報機関の中で最も力を持っているとされる。 日中関係筋によれば、中国の工作員の主な来日目的は4つ。(1)日本の先端産業技術の獲得(2)中国の政治、外交、軍事情報の収集(3)対台湾工作の拠点の構築(4)民主化活動家、チベット、ウイグル独立派に関する情報