米国がくしゃみをすれば世界経済が風邪をひく――。かつてはそう言われたものだった。この言葉は今日でも間違いではない。ただ最近は、中国がくしゃみをしても世界経済が風邪をひくようになった。 世界経済は、借入金を燃料に動く最後の大型需要エンジンを失ってしまった。 そのため、世界的な「過剰貯蓄」にさらに拍車がかかるか、ローレンス・サマーズ氏の言う「長期停滞(潜在的な供給に比べて需要が弱い傾向のこと)」に至るのはほぼ確実だ。 このことは世界経済のリスクにとって重要な意味を持つ。 国際通貨基金(IMF)は最新の「世界経済見通し(WEO)」を、憂鬱というよりは用心しているような調子でつづっている。これによると、世界経済の今年の成長率は3.1%になる見通しで(購買力平価ベース)、2016年には3.6%になる。高所得国の今年の成長率は2%で、ユーロ圏ですら1.5%の成長が見込まれるという。 一方、新興国は今年