中国の大都市における教育環境は発展しているが、農村との格差は依然として大きいという。東京大大学院の阿古智子准教授(現代中国社会学)に中国が抱える教育現場の問題点を聞いた。 中国の社会保障制度は国全体で統一されておらず、財政力の異なる地域間の教育格差の解消は難しい。地方には中央政府が立てる目標を達成するための十分な財源はなく、限られた予算を集中させる重点校は作れても平均的な底上げはできない。このため北京や上海など大都市と農村で教師やカリキュラムの質に相当な差が生まれてしまう。 数年前に調査した雲南省の山村の小学校は、教師不足から入学者を数年に1度しか受け入れられず、教師1人が4年生までの20人ほどを受け持っていた。高学年になると別の離れた学校に通うが、諦めて途中で学校をやめる子もいた。