日本の社会構造を説明した名著として内外に知られる中根千枝さんの『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)。刊行から50年を迎えた今も読み継がれ、117万部に達する。日本の集団や組織は、半世紀たった今も「タテ」の原理で動いているのだろうか。 中根さんは社会人類学者で東京大学名誉教授。90歳の現在も、研究論文の執筆に取り組んでいる。 『タテ社会の人間関係』は高度経済成長期の1967年に刊行された。現在129刷。中根さんによれば外国語版も十数カ国で出版されている。日本社会・文化論の代表的な書物だ。日本各地の農村社会やインド・英国などを観察した知見をもとに、日本の集団や組織がどういう基本原理で動いているかを分析した。 中根さんは、日本人が自身を社会的にどう位置づけるかに着目。記者やエンジニアといった職種よりも「○○社に所属する者だ」という意識が強いことを挙げ、インドなどでは「資格」が重視されるが、日