ブックマーク / gendai.ismedia.jp (5)

  • 寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第6回 川上武志さんの場合(下)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]

    コミューンでの生活、各地の原発、タイ渡航、浜岡原発。自由な生き方を模索した川上武志さんは、しかし二つのガンに冒されていた。今回は、川上さんが送ってくれた労災請求、続く再審請求を棄却した「決定書」のコピーをもとに、原発労働を把握し、労災請求を行う難しさについて見ていきたい。 労災請求却下の理由 まずは川上さんの労災認定請求の却下に対する再審請求却下の理由となる〈不支給決定理由〉という文書を見てみよう。  川上さんの労災請求は胃ガンと結腸ガンの二つについての請求で、原発の労災請求としては初のケースだった。厚生労働省で検討会が6回開かれ、確認されたことは、全固形ガンについて「100mSv以上から統計的に有意なリスクの上昇が認められ」、ガン発症までの期間は「最短で5~10年」という「調査報告」だった。そこから導かれた結論は次のようなものだ。  〇これらをもとに検討した結果、労災請求のあった胃がん・

    寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第6回 川上武志さんの場合(下)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]
  • 寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第5回 川上武志さんの場合(上)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]

    汚染ゴミをドラム缶に詰める 2012年12月11日、前日の名古屋ライブを終えて、掛川へと向かった。『原発放浪記』(宝島社)の著者、川上武志さんに会うためだ。 若い頃から各地の原発で働いていた川上さんは、2011年9月にその体験を手記にまとめた。堀江邦夫以来の現場の作業員の手記ということでさっそく取り寄せてみると、ユーモアと哀感のまじる親しみやすい文体で、一気に読んだ。 中でも私が興味をひかれたのは、川上さんが若い頃、滋賀のコミューンに出入りしていた、という経歴だった。恥ずかしながら私は、つい1980年代くらいまで日各地の農村に自然回帰を志向するヒッピー的な若者のコミューンが存在したことを知らず、驚いた。「ヒッピー」はどこかファッションスタイルのようなもの、ある種の雰囲気として、ふわふわと存在していたものかと思っていたのだ。実際に日の農村で、畑仕事をしながら共同生活していた若者たちがいた

    寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第5回 川上武志さんの場合(上)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]
  • 連載「原発で働くということ」 第4回 高橋南方司さんの場合(下)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]

    人を育てなくなった原発 電力自由化が始まったことも追い風となり、原発に求められる効率化の波は、定期検査期間の短縮という形で押し寄せた。タイトになった作業時間のしわ寄せは怪我や事故という形で労働者にかかっていくが、現場への影響はそれにとどまらない。見えてきたのは原発の効率化のために労働者教育がないがしろにされてきた実態だった。 「教育できる熟練者が定年になっていく。若い人たちは机上の理屈はあってパソコン管理もできるけど、現場は計算だけではできない作業がいっぱいある。メーカーも一次業者さんも技術者がいなくて困っている」 経験のない若手がパソコンで出た計算データの結果を、前の現場ではこれでやってたからやってくれと作業員に押し付けるが、作業員もそんな仕事はやったことがなく、齟齬がおきる。それまでは日立や東芝の指導者が来ていたというが、それがなくなり後進が育たないという。 「パソコン上で出す数

    連載「原発で働くということ」 第4回 高橋南方司さんの場合(下)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]
  • 寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第3回 高橋南方司さんの場合(上)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]

    「事故当時、福島原発ではたらいていました」 2012年1月15日、銀座の老舗バーTARUで私のトーク&ライブがあった。主催はイメージ・フクシマ。「『福島』について、『福島以後』の福島の未来についての『知見』を交換し、『イメージ』を分かち合う、そのような場を作るための映画上映&トークプロジェクト」だ。各地で原発を描いた新旧の映画作品の上映やトークイベントを開催している。 私が、こういうイベントの中心に迎えられたのは、「私は知らない」という曲があったためだろう。「都会の夜」に黙殺されながら被曝で弱っていく原発労働者が歌詞に登場するこの曲は、すでに触れたとおり、2010年に樋口健二『闇に消される原発被曝者』を読んだ衝撃から生まれたものだ。 新宿アルタ前での反原発デモに呼ばれて歌ったのも、この曲をすでに持っていたことが大きい。デモについては福島の人の間にも、原発の電気を使ってきた東京の人間が何をい

    寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第3回 高橋南方司さんの場合(上)  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]
  • 寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第2回 弓場清孝さんの場合  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]

    その場しのぎの作業 まだ残暑の厳しい2011年9月19日。 待ち合わせの船橋駅構内の花屋さんの前で、頭にバンダナを巻いた小柄な弓場さんが待っていた。 どこか喫茶店に入りましょうか、と声をかけると、弓場さんは声を潜めて、人前だと話せないこともあるからそこで、とバス停の前のベンチを指さした。そこで私たちは幾台ものバスを見送りながら、流れる汗を風に吹かれながら話をした。 弓場清孝さん、1951年生まれ。取材時は60歳。 広島の定時制夜間高校を卒業後、新聞販売や電気通信関係の仕事をしながら働いてきた。25年前に電工としてメンテナンスの出張でフィリピンに行った弓場さんは、フィリピン人の女性と出会い現地で結婚、二人そろって日へと帰国するが、奥さんがガンを患い故郷フィリピンへ戻る。一人になった弓場さんは、2007年から2009年まで「純粋に生活のため」に柏崎刈羽原発で働いた。 弓場さんが柏崎刈羽原発

    寺尾紗穂 連載「原発で働くということ」 第2回 弓場清孝さんの場合  | 現代新書カフェ | 現代ビジネス [講談社]
  • 1