コミューンでの生活、各地の原発、タイ渡航、浜岡原発。自由な生き方を模索した川上武志さんは、しかし二つのガンに冒されていた。今回は、川上さんが送ってくれた労災請求、続く再審請求を棄却した「決定書」のコピーをもとに、原発労働を把握し、労災請求を行う難しさについて見ていきたい。 労災請求却下の理由 まずは川上さんの労災認定請求の却下に対する再審請求却下の理由となる〈不支給決定理由〉という文書を見てみよう。 川上さんの労災請求は胃ガンと結腸ガンの二つについての請求で、原発の労災請求としては初のケースだった。厚生労働省で検討会が6回開かれ、確認されたことは、全固形ガンについて「100mSv以上から統計的に有意なリスクの上昇が認められ」、ガン発症までの期間は「最短で5~10年」という「調査報告」だった。そこから導かれた結論は次のようなものだ。 〇これらをもとに検討した結果、労災請求のあった胃がん・