極辛カレーの登場 記事前編はこちらから アカシアの人気メニューの一つである「極辛カレー」は、今から30年ほど前に二代目の鈴木康太郎さんによって産み出された。 旅行先のインドで出会ったカレーに衝撃を受けた康太郎さんは、帰国してすぐに独学でインド風のチキンカレーを作り上げた。今のようにどれだけでも本場のレシピが手に入る時代ではない。しかしこの極辛カレーはものの見事に正統派のインドカレーだし、しかもそれが洋食屋の一品としても違和感のない、スマートな味わいにまとめ上げられている。 「30年前にこれを作って出すってすごいいですね」と私が感嘆すると三代目の祥祐さんはこともなげに「そうですかね。だって中村屋さんなんてもっと昔からやってたでしょう」と言うが、あちらは最初からインド人が関わった専門店である。比較基準がそこ、というのがまた痛快だ。確かにこのカレーには中村屋にも通じる本格感と洗練が同居している。