本書は耐震偽造事件で会社を失ったイーホームズ 藤田社長による手記である.とてもリアルだったので半日で一気に読んだ.本書には役人が行政の無謬性を堅持し,出口のない問題の露呈を回避すべく,偽のシナリオで問題の幕引きを図るためにスケープゴートを陥れていく様が克明に記録されている.片方の当事者による告発であることを割り引いて考える必要があるが,出てくる手口など,いかにもありそうなことばかりだ.真実がどうであるかは別として,仕事で役所と付き合いがあったり,特に許認可や行政指導が商売と大きく関係するような方々は,こういうこともあるのかも知れないという心構えのためにも,本書を読むことをお勧めする. 内部リーク欲しさで権力による世論誘導に加担する大新聞,片やスキャンダル暴露を商売にしながら権力者に都合の悪い記述を削らなければ手記を出版できないと腰が引ける大手出版社,簡単に理解できる単純な構図をメディアに望