指揮:下野竜也 男声合唱=東京混声合唱団 芥川也寸志(没後20年):エローラ交響曲 藤倉大:読売日響委嘱作品《アトム》【世界初演】 黛敏郎(生誕80年):《涅槃交響曲》 マエストロ下野の読響定期を初めて聴きに行く。超絶良い演奏会。帰りに下野さんと偶然お会いして「素晴らしい演奏会でした!」と伝えると、アルコール混じりの笑顔で握手していただけた(柔らかい手……)のも感慨深いのだが、収穫が多い演奏会で「こういうのがオーケストラを生で聴く醍醐味だよな」と思った。ここで今日の演奏会をプログラム順に振り返ってみよう。 まず前プロの芥川也寸志だが、これは私がこれまで抱いていた芥川のイメージが覆されるような演奏だった。私はこの作曲家のことを、変拍子の印象的なリフレインを多用し(いわばカンザスシティのリフ・ミュージックのような)、ハーモニックな感性には欠ける粗野な作曲家、とばかり思っていたのが、冒頭の弱音だ