■「だめな自分」を受け入れること 「がんばらない練習」などしなくても、老齢になると好奇心が失せて、心配しなくてもがんばれません。pha(ファ)というコードネームを持つ著者は、私の年齢の半分だけれど、すでに老境? 本当の老境の人は身体の機能が劣化、頭の回転能力も低下。だるい面倒臭いと、受動的で何もせず、何も決められず、人に全部決めてほしい、と思い、常に疲れていて社交のエネルギーの衰退と嘆くのは老人特有の物ぐさ。まさにphaさんそのものです。 phaさんは未知のことが次々起こるのが怖くて、既知のものを沢山(たくさん)持ち運ぶことで身を守る。芸術理念とは逆行。つまり一度も選択を間違えたくないという完璧主義者。必然的に「何が起こるかわからない生(なま)の現実に身を投げ出すのを恐れ」るみたい。自分に欠如しているのは体験だと自覚。「頭で考えてからじゃないと反応ができない」らしく、何をすべきかが全くわか