「海を汚すんか」「まだ魚を取るつもりなんか」。受話器の向こうから、まくし立てるような関西弁の怒声が聞こえる。汚染水漏れ、サブドレン運用開始...。相馬双葉漁協岩子事務所(相馬市)には、東京電力福島第1原発の廃炉作業に関して本県沖の漁業に関するニュースが取り上げられるたび、県外から、県漁連の運営方針などを中傷する電話がかかってくる。 「一番頭にきたのは『賠償をもらいたくて福島に住んでいるんだろ』と言われた時かな」。岩子事務所で「クレーム」に応対する同漁協参事の阿部庄一(60)は、浴びせられた言葉を忘れない。時には憤りながらも、本県漁業環境の回復状況などを根気よく説明するのだが、相手は原発問題や放射線に関する持論を一方的に述べ、聞く耳を持たない。 試験操業をめぐって県漁連は先月下旬、操業できる海域として新たに第1原発の半径10~20キロ圏の海域を追加する案を示した。岩子事務所にもまた批判する電