2014年特別展示「建部賢弘生誕350周年記念展示会―建部賢弘の和算における業績と享保日本図」 ツイート 建部賢弘(たけべ かたひろ)は寛文4年(1664)生まれの和算家です。徳川家右筆の家の三男で、兄たちとともに「算聖」関孝和に学んだことが知られています。 関の『発微算法』の解説書『発微算法演段諺解』(1685)や中国伝来の書に訳註を付した『算学啓蒙諺解大成』(1690)を刊行し、吉宗に献上した『綴術算経』にあるような円周率や弧の長さの計算に優れた業績を残しました。今回初めての出展となる『弧背截約集』からは、賢弘の考察や計算過程を追うことができます。 賢弘は優れた和算家であるだけでなく、徳川家宣・家継・吉宗と三人の将軍に仕える幕臣でもありました。特に吉宗に仕えた時期には、和算の知識を活かし、測量・改暦事業に関わりました。 測量事業においては、享保期の地図制作にあって、賢弘は方角の正確さに