国際日本文化研究センター特任助教の石上阿希さん(35)は日本で初めて春画研究で博士号を取得し、大英博物館で一昨年開かれた大規模な春画展にも関わるなど、いま注目の若手研究者だ。このほど博士論文を基に加筆した『日本の春画・艶本(えほん)研究』(平凡社)を刊行。いよいよ今年9月から約3カ月間、日本初となる本格的な春画展が永青文庫(東京都文京区)で開かれることもあり、春画を文化史、社会史の中で読み解く論考はますます脚光を浴びそうだ。(黒沢綾子) 「春画を研究していますと自己紹介すると、多くの場合、相手は『えっ』『なんで?』って驚き、そして半笑いになります(笑)」 石上さんによれば明治以降、「猥褻(わいせつ)文書・図書」として社会から排除されてきた経緯もあり、春画が日本の大学で本格的な研究の俎上にあがることはほとんどなかったという。研究と収集、そして無修正での出版へ規制と闘ってきたのは主に、林美一(