2 レファレンス 2014. 9 主 要 記 事 の 要 旨 我々は研究不正を適切に扱っているのだろうか(上) ―研究不正規律の反省的検証― 小 林 信 一 ① 日本では 2000 年以降に研究不正への関心が高まったが、2005 年頃に研究不正事件が 続いたことから、行政府省、大学や研究機関は、研究不正に対応するための指針や規程 を制定するようになった。代表的なものが、文部科学省科学技術・学術審議会「研究活 動の不正行為への対応のガイドラインについて―研究活動の不正行為に関する特別委員 会報告書―」 (2006 年)である。これは各機関が制定すべき規程の考え方や内容を報告 書の形で示したもので、その後多くの機関がガイドラインに倣って規程を整備した。 ② 2012 年以降に再び、重大な研究不正事件が続発した。そのため、文部科学省のガイ ドライン等を見直す動きが始まった。しかし、研究不正事件の