国立アートリサーチセンター設立とその情報資源部門の取組 国立アートリサーチセンター・川口雅子(かわぐちまさこ) 独立行政法人国立美術館は2023年3月28日、日本におけるアート振興の拠点として国立アートリサーチセンター(NCAR)を設立した。NCARは「アートをつなげる、深める、拡げる」をキーワードに、「美術館コレクションの活用促進」「情報資源の集約・発信」「海外への発信・国際ネットワーク」「ラーニングの充実」の4本柱に沿って事業を進める予定である。本稿ではこのうち情報資源に関する取組の一端を紹介する。 ●『日本アーティスト事典』(仮称)構想 たとえば海外のキュレーターが展覧会を企画していたとしよう。展覧会の出品候補として仮にそのキュレーターが日本人アーティストの名前を思い浮かべたとする。その場合キュレーターは、そのアーティストに関する書籍や雑誌記事は手に入るか、カタログ・レゾネ(全作品集