真空中のサイフォン 神奈川県立湘南台高等学校 山本明利 段差のある二つの水面を管で結ぶと、管の一部が上の水面よりさらに高いところを経由するにもかかわらず水は自然にこの管内を昇って流れ下り、下の容器に達する・・・これがおなじみのサイフォンです。だれでも知っていて、日常的にも極めて頻繁に応用されているこのサイフォンの原理について、近角聡信先生は「日常の物理事典」(東京堂出版)の中で、水が重力に逆らうようにして管を昇る原理を「大気圧のため」と言い切っています。それならその大気圧を取り去ったらサイフォンはどうなるのでしょう。「実験してみればわかる」という断定的な文体に少々闘争心が沸いたので、愛用の真空ポンプと真空デシケーターで衝動的に実験をしてみました。前回の「真空中の逆さコップ」の付録と思ってください。 実験装置はいたって単純です。写真1、2のように、ガラス管を曲げてU字管を作り、適当に段差をつ