平成21年の司法試験の合格者発表。司法制度改革で設立された法科大学院の修了者を対象とした4回目の新司法試験だったが、合格率は27・6%と低調だった沈没寸前の法科大学院「法科大学院」という制度をご存じだろうか。難関といわれる司法試験に優秀な合格者を増やすため、全国に法科大学院を設立し、ここで教育を受けた者が司法試験を通るようにする制度で、文科省、法務省、大学、裁判所、弁護士会などが総力をあげて取り組んだ司法制度改革の目玉として、2004年に導入された。大学の法学部以外や社会人からも法曹界を目指す多様な人材を集めて弁護士を増やし、町医者のように、国民の誰もが弁護士に気軽に相談したり助言を求めたりできる社会を実現しようという理想が、そこにはあった。 早稲田大特命教授・東京大名誉教授の内田貴氏(菅原慎太郎撮影)しかし、鳴り物入りで導入されたこの制度は、今のところ壮大な失敗に終わっている。なぜなら法