日韓両国の懸案となってきた元徴用工の訴訟をめぐり、韓国政府が3月に「解決策」を発表した。ただその履行は、必ずしも順調には進んでいない。日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決から5年。徴用工問題に詳しい韓国の歴史学者、鄭恵瓊(チョンヘギョン)氏に現状をどうみるか聞いた。 ――韓国政府が進めている「解決策」をどう評価しますか。政府傘下の財団が日本企業に代わって賠償金の相当額を支払うというものです。 訴訟に対する「処理」ですね。私は、それが適切な表現だと考えています。ただ政府の意図について、私はそれほど否定的には見ていません。原告らがかなり高齢になっており、現実的には、日本側が原告の望む方法で慰謝料を払う意思もありません。どういう形であれ、原告を助けたいという意図だと思います。 ――否定はしない、ということですか。 ただし、進めていく過程では…