なぜずっと薬を飲んでいても治らないのか 私のクリニックは、メンタルの不調によって休職を余儀なくされた人たちのリワーク(職場復帰)支援を専門とする心療内科です。当クリニックには、長期間症状が改善せず職場復帰できない患者さんが数多く転院してきます。 ほとんどの患者さんが前院で「うつ病」や「抑うつ状態」などと診断され、抗うつ薬や睡眠薬を飲み続けている人たちです。長期の服薬にもかかわらず、なぜ、改善しないのでしょうか。 理由を述べる前に「うつ」について簡単に解説しておきます。憂うつ、落ち込むといった気分が強く、かつ持続していることを、日常的には「うつ」「うつ状態」と表現されますが、精神医学では「抑うつ状態」という用語を使います。一時的な気分の落ち込みのような病的でないものと、認知症に起因する症状を除くと、抑うつ状態を示す病気は次の6種類程度に分類されます。