微細機械技術の進歩により多くの怪我や病が克服され、美しい蝶の姿をした微細機械の群体が空を舞い飛び、関東平野だった内海に浮かぶ小さな島で、人々が無限の資源による憂いのない豊かな生活を謳歌していた頃。それでも、まだ地球の外にまで人類の生活圏を広げる必要はなかった時代。 男女別離の病「種のアポトーシス」によって失われた異性の代わりに、人間は第三の性を造り出し、彼ら彼女らと共生の道を選ぶ。 人間と五つの約束事を交わして生まれる人口の妖精達は、人のように喜び、人のように謳い、人のように泣く。人のように人に恋をし、人のように人を愛し、人のように人から愛される。 関東湾上の男女別離の街、東京自治区で、彼女たちは人と寄り添って生きている──。 (「スワロウテイル/幼形成熟の終わり」 冒頭より引用) 関東湾人工島の自治区に男女別で隔離されている人間たちは、人工妖精(フィギュア)と共に暮らしていた。その一体の