5つ星のうち5.0History does not repeat itself, but it rhymes. 自分がよく知っているあの町のあの辺りで、いかに未曾有の大災害による混乱の下とはいえ大正デモクラシーを享受していたはずの大勢の住民が自衛という大義名分の下、刃物やこん棒をもって無抵抗の避難民に対し血まみれの殺戮を行ったという事実を改めて詳細な記録を持って突き付けられた。何ともやるせなく百年という時空を超えて心がえぐられるような読書体験となったと同時にぼんやりとは知っていたものの敢て真摯に向き合おうとはしなかった自分のいいかげんさにも気付かされた。 当該地域はその二十数年後米軍の空襲に見舞われることになるわけだが、事件当時ほとんど罪の意識もなく咎を受けることもなかった「ふつう」の市民たちはその後、心の中で加害と被害の意識にどうやって折り合いをつけ人生を全うしたのだろうか。仮に毎年8月