公民館の屋上に載ったバスの前で話す高橋武彦さん(中央)、真由美さん(左)と佐々木豊志さん=4日、宮城県石巻市、葛谷晋吾撮影宮城県石巻市と栗原市の地図 津波で自宅も仕事場も流された宮城県石巻市のバス会社経営の夫婦に、山間部の仲間から支援の手が差し伸べられた。3年前の岩手・宮城内陸地震のときとは逆の立場だった。「恩返し」と言われた夫婦は気持ちを立て直し、「もう一度、地域の足に」と再起を誓う。 いくつもの海岸沿いの集落が津波にのまれた石巻市東端の雄勝町。「南三陸観光バス株式会社」を経営する高橋武彦さん(60)と真由美さん(50)は、市中心部に出ていて無事だった。同居する次女以下4人の娘と武彦さんの母親、7人の従業員もみな避難した。 しかし、事業の打撃は深刻だ。16台のバスのうち13台、6台のジャンボタクシーのうちの5台が津波で瞬時に奪われた。買ったばかりで、お客を初めて乗せるはずだった車も