ダークウェブというのはギャングの資金洗浄や盗品売買、殺人請負などがまかりとおる危険な場所だと思っていました。しかし木澤佐登志さんの『ダークウェブ・アンダーグラウンド』を読んだ後、印象はかなり変わりました。ダークウェブにギャングはほとんどおらず、殺人請負サイトはあってもブラフばかり。通信の自由や表現の自由を標榜する、思想的な犯罪者が集まっている印象でした。 逆に、ダークな印象が強まったのは普通のウェブです。特に闇が深いのは本の後半でとりあげられる「新反動主義」。新反動主義はリベラルな考え方や民主主義制度そのものを否定する、インターネット生まれの考えです。大企業のCEOのような強者が君臨する封建主義国家を理想として、「オルタナ右翼」と呼ばれるドナルド・トランプ大統領の支持層にも影響を与えているといいます。 いまウェブが抱えている闇と、ウェブの闇が現実に与えている影響について、著者の木澤佐登志さ
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