【ワシントン=山田哲朗】米国やオーストラリアで、地球温暖化に警鐘を鳴らす著名な気象学者らが、温暖化に懐疑的な勢力から嫌がらせや脅しを受けている。 危機感を強めた科学者団体が、個人攻撃を非難する声明を出し防戦する事態となっている。 温暖化問題そのものを否定する勢力の拠点となっている、米国の調査研究機関アメリカン・トラディション・インスティテュート(ATI)は、温暖化について発言する米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙研究所のジェームズ・ハンセン所長に関する資料公開を請求。NASAがプライバシーを理由に拒否すると、6月に訴訟を起こした。 バージニア州では、クチネリ司法長官が昨年、温暖化研究の権威マイケル・マン教授を標的に、研究費の獲得過程について調査に乗り出した。教授が2005年まで在籍したバージニア大に、数千点の電子メールや書類の提出を要請。「学問の自由」を理由に拒む大学とのにらみ合いが続く