前回、脳と身体の乖離ということを書いたけれど、この二元論をあまり実体的に捉えてはならない。 脳といえどもリアルな臓器であり、身体は身体で自前で考える回路を持っているからである。 酸欠になれば脳の思考は混濁するし、点滴を打つと数学の問題がすらすら解けたりする。 同じように、身体も好調を維持していると適切な選択を無意識のうちに行うが、バランスが崩れたり、緊張やこわばりがあると間違った推論をすることがある。 脳を中心に生きるか、身体に軸足を置いて生きるかというのは二元論的な問いのように見えるけれど、このような問いを発し、それに適切な回答を処したりするのは実は脳がひとりでやっているのである。 つまり脳という臓器は「脳を中心に生きるか、脳の関与をすこし抑制するか」という脱自的な判断ができるのである。 「身体」というのは脳がつくりだした「脳の自己中心性を抑制するサブシステム」のことである。 「あまり考