印刷 土産物店の店先でお湯をまく阿部ヒロ子さん。「お客さんは少ないけど、店は開けとかないと」と話した=26日午前8時52分、福島市土湯温泉町、金子淳撮影 秋の行楽シーズンを迎える中、福島県の温泉地の旅館やホテルが苦しんでいる。震災後受け入れてきた避難者が仮設住宅などに移り、風評被害で観光客数も落ち込んだまま。経営破綻(はたん)する旅館も出ており、客足を呼び戻そうと業界や県は工夫をこらす。 「もう頑張りきれない。お世話になりました」。福島市中心部から車で約40分の土湯温泉で8月末、土産物店を営む阿部ヒロ子さん(68)に、旅館の支配人があいさつにきた。震災直後に閉鎖も考えたが、踏みとどまってきた。だが、被災者の受け入れが終わる今が潮時――。そんな話をして去っていったという。 数日後、2軒隣の旅館も営業をやめたと知った。駆けつけると、玄関の戸に「近く自己破産を申し立てる」と書かれた紙が。「