は、日本の司法制度改革を考察する際に、その原点を提示する基本書となるだろう。国民必読の書と言える。 「三権分立」を確保し、公正で適正な裁判を実現するためには、裁判官が 「良心に従い、独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」 ことが不可欠である。 日本国憲法は第76条第3項にこの規定を置いている。 この規定に沿った裁判官の行動が確保されて、初めて中立で公正な裁判が実現される。 ところが、日本国憲法第80条の条文が個々の裁判官による独立した職権の行使を妨げる可能性を生み出しかねない危険を内包している点に十分な留意が求められる。 日本国憲法第80条には以下の定めが示されている。 「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。」 この規定に関