RustはトレースGCを持たずRAIIと所有権に基づくメモリ管理を行います。これには様々な利点がある一方、相互参照をもつデータの扱いが他のプログラミング言語より難しいという困難があります。本記事では、あまり一般的ではないが特定の限られた用途では有用と思われる方法を紹介します。 標準的な方法 まずは相互参照が起きないように設計を再考するのがいいでしょう。特に「子データから親データを参照する」といったユースケースでは、必ずしも子データ自体が親データへの参照を持たなくてもいいことがあります。以下ではこれに当てはまらない例、典型的にはグラフの表現を念頭に置いて記述します。 Rustで相互参照を扱う最も標準的な方法は、typed_arenaなどのアリーナアロケーターと RefCellなどの内部可変性コンテナを組み合わせる方法です。これについては私のブログ記事などを参考にしてください。 またRustの