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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/ill_critique (28)

  • 『日常』OP試論――京都アニメーションと山本寛、最後の戦い - 反=アニメ批評

    反=アニメ批評, 2011年春期アニメ前回に引き続き、4月24日にustreamで話した内容を採録します。part2。 ・その1■聖女と魔獣――『魔法少女まどか☆マギカ』ラストシーン読解 今回は『日常』という日常系漫画とは距離を取ったギャグ漫画原作の京アニ作品と、『フラクタル』という京アニアンチ派・ヤマカン監督による「子どもが作りたくなるアニメ」を謳ったオリジナルアニメについて。 ---------------『日常』のOPが話題だ。ぼくの周りでも中毒患者は多くて、「辛抱たまらず50回見た」なんて、大きく日常から逸脱した行為に及んでた人も少なくない。一方ぼくはというと、周りが騒ぐほど乗り気にはなれないまま、「まあ良いのはわかるけどさ(青の挙動は一々カワイイし)……でもそんなにハマるほどのものなのかしら(あれっ、いま青がぼくに向けてウインクしたんだけどおい!)……ヒャダインとかキャッチーな起

  • 『放浪息子』と放浪するニワトリ――岡田麿里試論 - 反=アニメ批評

    ニワトリ論壇, 反=アニメ批評, 2011年冬期アニメ養鶏業界において、採卵用ニワトリは「レイヤー」と呼ばれる。またそのために行われるヒヨコの雌雄判別(gender selection)は、未だ一羽ごと作業員によって手工業的に成される。しかし、生物学的なセックスの選別は容易であっても、社会・文化的な性であるジェンダーの場合はどうだろうか。特に、男装/女装というレイヤー的プレイで仮装されている場合は。 * * * * *前期(『海月姫』は蔵之介)に引き続きトランスヴェスタイト(異性装)を扱ったノイタミナ作品『放浪息子』(シリーズ構成:岡田麿里、2011年)は、ちょうどヒヨコがニワトリへと大きく形姿を変えて成長するような、第二次性徴期における急激で著しい身体的変化や性的成熟――それを正面から受け入れられない男女トランスジェンダー的葛藤を、時にコミカルに、淡い水彩画調の画面で紡いでいく秀作とし

  • 『けいおん!!』におけるループ構造――日常系アニメに物語は必要なのか - 反=アニメ批評

    2010年春期アニメ, 反=アニメ批評京都アニメーション制作の大ヒット人気アニメ『けいおん!』、その待望の第二期・『けいおん!!』が、ファンの方々の熱狂的な賛辞とともに放送を開始しています。 そんな『けいおん!!』第1話においては、まるで久しぶりに出会った友人たちと、「かわらないねー」などと言いながら思い出話に花を咲かせるかのように、一期において描かれた要素の数々が既視感をもって繰り返されもします。 その第1話アバンからして、一期第1話のアバンがそうであったように、唯は始業式≒入学式に目覚まし時計の時間を見間違えて予定より大幅に早く登校してくるでしょうし、※一期 ※一期 (この一期第1話アバン登校シーンでの、さり気なく他のメンバー3人とすれ違っている描写なんかは、今改めて見ると感じ入るところがないわけではありませんでした) 急ぎ駆け出す際にくわえて走る朝は、相変わらずイチゴのジャムトース

  • 月経論壇の誕生――アニメにおける月経表現史 - 反=アニメ批評

    アニメ雑記ここ数週間(そしてもうしばらくは)、アニメ批評同人誌『アニメルカ』の編集・営業・交渉等々に忙殺されており、このブログに裂けるまとまった時間や気力が全くない状態なのですが、 ■アニメ批評同人誌『アニメルカ』サークル名:アニメルカ製作委員会頒布:第十回文学フリマ開催日 2010年 5月23日(日)会場 大田区産業プラザPiO 大展示ホール公式ブログ:http://animerca.blog117.fc2.com/ そんな『アニメルカ』編集部の一人が、何を思ったかアニメにおける「月経論壇」なぞに関してブログで語り出してしまったため、ぼくもその凶行の連帯責任とでもいいましょうか、申し訳程度に話題に触れることで連帯を仮構すべく尻拭いに参じることにします(ちなみに、終いには「月経も『アニメルカ』の企画に出来ませんか?」といった提案までもが飛び出し、おもわずわが耳(目)を疑いもしましたが、それ

    kommunity
    kommunity 2010/04/10
  • アニメ音楽作詞家というお仕事――「畑 亜貴」の仕事量に関して - 反=アニメ批評

    雑記2週間ほどブログを放置してましたがなんとか生きてます。ただ今後は、更新頻度か記事の質を落とすことにならざる得ないかもしれません、とかなんとか必要のない生存報告をしつつ、それでも新作アニメレヴューくらいはある程度書いておきたい、と誰も聞いていない抱負も述べて言い訳を終わろうと思います。 ……そんな感じですが、なんとも、更新がこれだけでは何なので、なかなか充実しているように見える夏期アニメ、そのOP・EDにおいて、アニメ界では作詞家として有名な「畑 亜貴」さん(『ハレ晴レユカイ』、『もってけ!セーラーふく』等)の名前が、様々な作品をまたいでやたらと目についたことがどうにも気になったため、せっかくですのでそれに関するデータを調べて羅列しておきます。 夏期新作テレビアニメはおそらく17(?)ですが、そのうち「畑 亜貴」さんがOP/EDの作詞を担当していた作品は5でした。 ■『CANAAN』

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    kommunity 2010/04/10
  • 『マクロスF』における性の説話法――マムコ・セクロス・ファック - 反=アニメ批評

    反=アニメ批評DVD・BDの売上では、同時期に放送していた話題作『コードギアス』を抜き去り、関連CD売上でも累計で20億を裕に超える驚異的な数字を叩き出した、2008年に放送されたテレビアニメで最も商業的な成功をおさめた作品である『マクロスF』。 そのテレビシリーズの再編集と予告されながらも、実際のところ、事実上新作として、大幅にアレンジを加えて作り直された劇場版二部作の前編『劇場版 マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜』が、11月21日から公開され話題を呼んでいることは、スポンサーであるパチンコ・パチスロ業界の影響力をはじめ、山の手線での大々的な痛車宣伝などによって、多くの方がご存知のことと思います。 ※今日もやられやくより もちろん、こうした派手派手しく、およそ公共の場を滑走するに相応しいとは思えないいささか悪目立ちのようにも見えてしまう、扇情的なイメージの数々も、そもそも、『マ

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    kommunity 2010/04/10
  • 妻が語る「荒木飛呂彦」と『ジョジョ』――『荒木麻美のジョジョと奇妙な生活』レポ - 反=アニメ批評

    雑記, エッセー今日は、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの作者・荒木飛呂彦先生の奥様・荒木麻美さん(チャミ様)によるトークライブ――『荒木麻美のジョジョと奇妙な生活』@駒場祭に行ってきたのですが、荒木先生や『ジョジョ』シリーズに関する面白い話が色々聞けたので、その(流石に↓の記事みたいなテンションでは書けないので普通の)レポを書いてみようと思います。 http://getnews.jp/archives/37225 今までべてきたパンの枚数がわからないようにッ! いままで漫画『ジョジョの奇妙な冒険』から受けた衝撃の回数もわからないッ! そんな『ジョジョ』が好きで好きでたまらないジョジョラーだったとしても、まさかこんな日がやってくるとは思わなかったハズ! ディ・モールト(すっごく)喜べッ! なんと『ジョジョ』の生みの親・荒木飛呂彦先生の奥さま、荒木麻美さんが東京大学で講演会を開催することに

  • ヤマカンノオト――山本寛監督はなぜ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』を絶賛したのか - 反=アニメ批評

    2010年冬期アニメ, アニメ雑記日々あまりに慌ただしくまともに更新出来ない状態が続いているわけですが、そうした報告をただ好きで勝手にやってるだけのブログでまでわざわざ言い訳がましく書き立ててしまう自意識に関しては、何か皮肉めいた呼称など存在しているのでしょうか。そんなわけで、しばらくの間はちょっとした小ネタ記事更新で間を持たせようと思います。 ほのぼの日常系アニメであると公言しながら、実際には、全編に散りばめられた不吉なイメージの数々から展開が予感される――という解釈自体がミスリーディングを誘っていたのであり、結局戦争など起こらず、お遊び軍隊ごっこ萌え作品に終止するのだろう等々、もはやほのぼのだろうが欝だろうが、どんな結末を迎えても驚かないだろう『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』ですが、 ■『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』における雑種性――『けいおん!』との類似性を超えて ■『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に散りばめ

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    kommunity 2010/04/06
  • 『デュラララ!!』と『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』で共鳴する不吉さについて――鵺(ぬえ)表現論序説 - 反=アニメ批評

    2010年冬期アニメ, ニワトリ論壇, 反=アニメ批評まずはじめに、前回の『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に関する記事を、大幅な引用をもって復習させていただくと、そこでは、 ■『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に散りばめられた不吉さ――鵺(ぬえ)が運ぶ死のイメージについて そのグスタフ・クリムトの絵画群を模したOP映像や、 ■グスタフ・クリムト - wikipedia クリムトの作品は、甘美で妖艶なエロスと同時に、常に死の香りが感じられる 第2話で稲光のたびに描かれた死者の姿、 そして何より、第4話で突如語られ出し他「鵺(ぬえ)」などを中心に、ここで、Wikipediaで「鵺(ぬえ)」を、■鵺 - wikipedia『平家物語』などに登場し、サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビで(文献によっては胴体については何も書かれなかったり、胴が虎で描かれることもある。また、頭がネコで胴はニワトリと書かれた資

  • 『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に散りばめられた不吉さ――鵺(ぬえ)が運ぶ死のイメージについて - 反=アニメ批評

    2010年冬期アニメ, ニワトリ論壇, 反=アニメ批評『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は不吉さをまとう。 OP映像が模しているグスタフ・クリムトの絵画群は、 クリムトの作品と同様、作品全体に不穏な気配を漂わせはじめ、 ■グスタフ・クリムト - wikipedia クリムトの作品は、甘美で妖艶なエロスと同時に、常に死の香りが感じられる 回想シーンで女性軍人がトランペットで奏でる『アメイジング・グレイス』は、意味深な言葉を謳いだし、 Yes, when this heart and flesh shall fail, And mortal life shall cease, I shall possess within the vail, A life of joy and peace.そうだ この心と体が朽ち果て そして限りある命が止むとき 私はベールに包まれ喜びと安らぎの命を手に入れるのだ 第2話で

  • 【アニメブロガー合同企画】2009年アニメベスト/ワースト@反=アニメ批評、および参加協力者一覧 - 反=アニメ批評

    アニメ雑記さて、ブログ界を「2009年ベスト/ワースト」で一時的にジャックしようというわれわれこの企画が、いよいよその汚れた幕を落とします。 アニメ(ブロガー・twitterアニメクラスタたち)の饗宴、あるいは2009年アニメベスト/ワーストのススメ - 反=アニメ批評 ■「2009年ベスト/ワーストアニメ」執筆形式・論述分量自由ベスト/ワーストの定義も自由挙げる作品数も自由書きあがった記事は「反=アニメ批評」か「EPISODE_ZERO」の告知記事にトラックバックを送っていただければ、後々そのまとめ記事を作成します記事の一斉アップ時間は12月27日(日)23時〜24時の間(23時直後推奨)その時間帯は都合が悪いという方でも、年内にトラックバックしてくださればまとめ記事に対応させていただきます(質問があったのですが)「はてなダイアリー」以外でも、ブログをお持ちの方でしたらどなたでも大歓迎で

  • 【アニメブログ合同企画】2009年アニメベスト/ワースト結果まとめ、あるいは両極化するベスト - 反=アニメ批評

    アニメ雑記「ア・ハッピー・乳・イヤー!(和訳:あけおめこ!)」といった淫惨な挨拶から新たな10年代をはじめるつもりはありませんし、ましてこれから、年末に実行されたアニメブロガー合同企画「2009年アニメベスト/ワースト」のまとめ記事が綴られるという厳かな空気ともそぐわないわけですから、ここは大人しく「今年もよろしくお願いします」と繕った笑顔で書き綴ってから、まずは企画の概要を簡単に復習することにします。 アニメ(ブロガー・twitterアニメクラスタたち)の饗宴、あるいは2009年アニメベスト/ワーストのススメ - 反=アニメ批評 (・・・)われわれは、「ベスト/ワースト」という祝祭的な言葉の前に、「定義」や「形式」などといった差し出がましさは不要である、という立場をとることになります。 というのも、例えば、時に意見の分かれる「ワースト」という概念の定義にしたところで、通常の雑誌企画で使わ

  • 『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』における雑種性――『けいおん!』との類似性を超えて - 反=アニメ批評

    2010年冬期アニメ, アニメレヴュー, 反=アニメ批評「アニメーションの作り手が持つ“熱”と“想い”を実現するステージを用意し、多くの人に見てもらうことをコンセプトに、オリジナルのアニメ作品を制作・放送する」といういささか抽象的すぎると思われてしまいかねない方向性とともに始められた、テレビ東京×アニプレックスによる共同プロジェクト「アニメノチカラ」(アニメーション制作は、アニプレックス傘下のA-1 Picturesが担当)。 その「アニメノチカラ」プロジェクト第一弾作品『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』が先日いよいよ放送開始されました(2010年には他にも、『財団法人 オカルトデザイナー学院』、『閃光のナイトレイド』がアニメノチカラ枠で放送予定)。 この『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に関しては、放送開始前から、まるで年末に発表された物の『けいおん!』二期を予見していたかのように、キャラクターデザイン(とり

  • 最近のアニメのパンツ描写と10年前のアニメのパンツ描写 - 反=アニメ批評

    パンツ論壇, アニメ雑記■最近のアニメのキャラデザと10年前のアニメのキャラデザ - WebLab.otaという、ろくさんの記事にインスパイアされ、ぼくなりの二番煎じとして、「アニメにおけるパンツ表現」に関して現在と10年くらい前(1995〜2005年)の描写を比較・検討してみます。 ■10年くらい前のアニメ(1995年〜2005年) ※参照作品(左上から)『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)『AIKa』(1997年)『勇者王ガオガイガー』(1997年)『アキハバラ電脳組』(1998年)『キディ・グレイド』(2002年)『いちご100%』(2002年)『一騎当千』(2003年)『舞-HiME』(2004年)『魔法少女リリカルなのは』(2004年)『下級生2 ?瞳の中の少女たち?』(2004年)『撲殺天使ドクロちゃん』(2005年)『魔法先生ネギま!』(2005年) ■最近のアニメ(20

  • センコロール・supercell・新海誠――商業作品と個人制作作品をめぐって - 反=アニメ批評

    アニメ雑記どうも、またまた久し振りの更新です。 いやはや、しかし、ぼくが夏アニメも碌に消化できていないでいるというのに、世間ではもうすでに秋アニメも2週目、3週目に突入しようとしているんですね、怖……。もうほんと、多忙ゆえにほとんどアニメも観れていない生活を送っているのですが、ただ、忙しいのは皆同じなわけですし、更新できない理由を忙しさのせいになどしないという健気な人物を演出するため、当ブログではその事実を伏せておくことにします。 そんなわけで、皆が新作アニメのレヴューで盛り上がっている中、その話題に乗ることができないわれわれは、代わりにほとんど話題にもなっていない、そのうえ既に公開が終わってまでいる劇場公開アニメの話でもしてみようと思います。といっても、何もわざわざマイナーな作品を選ぶことで、「われわれは周りとは目の付けどころが違うのですよ(笑)」、という中二アピールをしては冷笑を買おう

  • 水商売化する萌えアニメ――とある科学の超電磁砲・とらドラ!・小悪魔ageha - 反=アニメ批評

    反=アニメ批評, 2008年秋期アニメ, 2009年秋期アニメ2008年秋からアニメ版が放送されていた『とある魔術の禁書目録』のスピンオフ作品であり、またそれと同時期に放送されてはこれまた同じくJ.C.STAFFが制作した大人気作『とらドラ!』の「長井龍雪」が監督をつとめていることでも話題の今期人気作『とある科学の超電磁砲』。 人気作ということもあってか、長井監督自身がコンテ・演出をつとめるED、およびその色調に関しては、『とらドラ!』との類似性を絡めながら、既に様々な方々が言及してもいらっしゃるでしょうから、ここでは以前このブログに載せた『とらドラ!』の色彩表現に関する記事を載せるにとどめておけば、■『とらドラ!』における歌取とミスリードの技法――『true tears』とニワトリと四神説をめぐって概要:概要:『とらドラ!』の主要キャラたちが、四神(白虎、青龍、玄武、朱雀)になぞらえて

  • 『化物語』におけるエロス表現の論理――『true tears』・『けいおん!』・『CANAAN』と続くニワトリ表現の系譜をめぐって - 反=アニメ批評

    反=アニメ批評, 2009年夏期アニメそれでは今回は、前回の新作アニメ討議からの宿題となっていた、今期アニメのニワトリたちと対面することにしましょう。 既に当ブログにおいて何度か指摘してきた通り、前期アニメにおいては、作中の至るところにニワトリが散見された作品がありましたよね。 ■なぜ『けいおん!』第4話の脚家に花田十輝先生が抜擢されたのか――ヤマカンと『らき☆すた』と『true tears』をめぐって >率直に言って、ここまで来るともはや、『けいおん!』というタイトル自体が 「 鶏 音 ! 」 を意図していたとしか思えないほどです。 しかしです。『けいおん!』も第4話の時点でならば、そこかしこからニワトリの気配を感じ取っては『鶏音!』などと軽口を叩くことができたでしょうが、しかし回を進めるごとに、 陰惨にも、コンガリ焼きあげられたニワトリの死肉が直接描写されだしもすれば、 まるでそれへ

  • 三次元美少女が二次元美少女キャラを凌駕することは可能なのか――『極上!!めちゃモテ委員長』と『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』をめぐって - 反=アニメ批評

    反=アニメ批評, アニメレヴュー, 2009年春期アニメ特に書くこともないので、アニメレヴューを、というか今期アニメにおいて、2Dと3D、あるいは二次元と三次元に表現に関して引っかかる作品があったので、碌に観られていないように感じるそれらの作品の紹介も兼ねて、作品を観たことがない人でも読めるよう配慮しつつ少々雑感を書きなぐってみようと思います。 まずははじめに取り上げさせていただくのは『極上!!めちゃモテ委員長』。 放送を一目でも観たことがある者ならば誰もが最大限の賛辞を込めて「なんてつまらない作品なんだ……」と呟かざる得ないこの『極上!!めちゃモテ委員長』は、しかし意図的なネタアニメや養殖とんでもアニメばかりが幅を利かせる現代アニメ界においても、しかしこの作品に対しては心のどこかで、「狙ってふざけたアニメならたくさんある。ただ、まさかそんなことはないと思うけど、この作品はもしかしたら、い

  • 越境するアニメーション――『うみものがたり 〜あなたがいてくれたコト〜』におけるジャンル意識をめぐって - 反=アニメ批評

    アニメレヴュー, 2009年夏期アニメ第1話からして思わず今後に期待を寄せてしまう作品が散見される2009年夏期新作アニメ。その新作アニメレヴュー第一回は、夏期における夏らしい話題作の一つである『うみものがたり 〜あなたがいてくれたコト〜』についてです。 今さらその華々しい経歴を紹介する必要はないでしょうが、『美少女戦士セーラームーン』、『おジャ魔女どれみ』等、東映動画(東映アニメーション)では女児向けアニメ作品を監督、その後フリーで『ケロロ軍曹』や『カレイドスター』を経て、近年はハルフィルムに移り『ARIA』シリーズ等を手掛けていた「佐藤順一」監督の新作アニメ『うみものがたり 〜あなたがいてくれたコト〜』。 「太平洋、大西洋、インド洋」という三つの「海」を意味する「三洋」という名を掲げる大手パチンコ・パチスロメーカー――その三洋の大ヒットパチンコ機『海物語』を下敷きに、潤沢なパチンコ資

  • 『化物語』・『ひだまりスケッチ』・『GA 芸術科アートデザインクラス』――2009年夏期新作アニメに関する討議1 - 反=アニメ批評

    I:それじゃあ、今期アニメの話の続きね。ぼくとしては、1つには前にも書いた『うみものがたり 〜あなたがいてくれたコト〜』が、佐藤順一の総決算的にも、そこに関わる異質なエロ要素の行方的にも、今後が気になる作品だったけど、二人のお薦めはなにかな? T:2009年夏期アニメにおいては、前期アニメとは対称的に、思わず目を引かれてしまう作品が少なからず存在する。誰もが「今期最大のダークホース」と語ってしまっているその一致ぶり自体がどこか奇妙にも映り始めている、サテライト大阪から『しゅごキャラ』チームが独立した制作会社・GoHandsの初制作作品『プリンセスラバー!』、また、話題性で言えばノイタミナ枠の新作、前期人気を呼んだ『東のエデン』の後番組として放送されている『東京マグニチュード8.0』は、まさに『東のエデン』の神山健治監督を引き継ぐように、その下で『攻殻機動隊』シリーズや『精霊の守り人』のコン