私たちが生きる現実は、とてつもなく厄介です。解決しない問題なんていくらでもあるし、人間だって善と悪、敵と味方なんかでは簡単にわけられない。漫画家・鳥飼茜さんは、そんな厄介な現実を安易にデフォルメすることなく、鮮やかに、そして細やかに描く貴重な作家です。男女の性の不平等を描いた代表作『先生の白い嘘』(講談社)や、女子のためのデトックス漫画『地獄のガールフレンド』(祥伝社)、そして『週刊SPA!』にて連載中の『ロマンス暴風域』(扶桑社)など数々の作品を世に送り出し、男と女の間に横たわる問題を読者の眼前に広げました。 “わかりやすさ”や“スカッとする結末”が求められがちなこの社会。そこで私たちはいかに生きるべきなのか、お話を伺いました。 「記号化されたキャラクター」ではなく「その辺にいる人たち」を描きたい——『先生の白い嘘』の新妻くんや、『地獄のガールフレンド』の石原くんのように、鳥飼さんの作品