ワーキング・プア増加阻止にはほど遠い3つの理由 (小越 洋之助=國學院大學経済学部教授) 最低賃金法改正案が2007年3月13日、通常国会に提出された。地域別最低賃金の事実上引き上げを促すものだ。 最賃を基にして月給を計算すると生活保護の支給額より下回る地域が存在する。この「逆転現象」の解消などを目的とする内容が改正案に盛り込まれた。 最低賃金法は、現在、どのような問題を抱えているのか。最低賃金法に詳しい國學院大學教授の小越洋之助氏は、今回の改正案について「抜本的改革にはほど遠い」と指摘する。その理由と、氏の考える「抜本的改革」のための方策を挙げてもらった。 最低賃金(最賃)とは、企業が人を雇う場合、法律により、支払わなければならない賃金の下限のこと。日本では都道府県ごとに地域別の最賃制が設定されている。現時点(2007年度)で、時給の最高額は東京都の719円。最低は青森、岩手、