2017年7月まで日銀政策委員会の審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英氏は、「日銀は奴雁たれ」と説く。仲間にいち早く危険を知らせる役目を担う雁にたとえて、日銀に対し、金融政策の将来のリスクに目配りするよう警鐘を鳴らしている。 国債大量購入は金融市場にストレス大。「日銀は奴雁たれ」 ―2017年7月までの審議委員の任期中、黒田総裁の金融政策に反対票を投じることが多くありました。 「今の金融政策の副作用は多い。金融機関や金融市場に強いストレスをかけている。また、日銀の財務の問題もある。大量に国債を購入した結果、将来、金利を上げる時に銀行への利払いが多額となり、日銀が赤字や債務超過に陥る懸念だ。債務超過になれば国民の負担で公的資金の注入もあり得る。金融政策の失敗で国民負担が生じれば、政府が日銀をもっと監視すべきだという議論が起き、日銀法を改正して独立性を弱めたり、政府に政策委員の解任権を認め