リアルタイム機能をLinuxカーネル自身で実現するスタンドアロン方式。この方式の具体的な実装やリアルタイム性能を検証する 前回は、マイクロカーネル方式によるLinuxのリアルタイム機能実現について説明した。今回は、時分割処理システムとして設計されたLinuxカーネル自身に大きく手を加えることにより、リアルタイム機能を追加する動向を説明する。本連載では、この方式を便宜上「スタンドアロン方式」と呼んでいるが、一般性を持った用語ではないので注意していただきたい。 リアルタイム処理実現への課題 具体的な実装の説明に入る前に、リアルタイム処理のあるべき姿をイメージしてみたい。一番大切なのは、現在実行している処理よりも優先すべき処理が見つかった場合、速やかに処理を切り替えることである。すなわち、どんな場合でも遅延なくプリエンプションを行うことが理想である。 これを実現するには、システム内のすべての処理