2020年東京五輪開催が決まった今月7日のアルゼンチン・ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で、高円宮妃久子さまがスピーチをされてから3週間が過ぎた。「招致実現に大きな役割を果たされた」と各方面で高く評価されたが、宮内庁は「招致活動には政治的側面があり、皇族はお関わりにならない」との立場で、当初、慎重論が強かった。それでも、なぜ久子さまのスピーチは実現したのか。舞台裏を検証した。(菅原慎太郎)文科相が直談判 「久子さまに総会でご登壇いただくしかない」 今年7月3日、スイス・ローザンヌで行われた五輪開催計画の説明会に赴いた東京都の猪瀬直樹知事は、こう考えていた。 説明会では東京のほかイスタンブール、マドリードがIOC委員を前にプレゼンテーションをしたが、注目を集めたのはマドリードへの招致を訴えるスペインのフェリペ皇太子だった。 東京が対抗するための切り札。猪瀬知事にとって