ずっと、母方の祖父のことが好きではなかった。 そう言い切ってしまうのも実際とはやはり違っていて、より正確に表現するならば、好きだとか嫌いだとかいう以前の問題で、おれは祖父の生き方を全く理解することができなかった、と言うべきなのだろう。おれにとっての彼は、ほとんどエイリアンのようなものだった。たとえば、母方の祖父はかつて家庭にほとんどお金を入れることがなかったという。これで祖父が酒や博打に現をぬかす放蕩者であったなら、まだ人間的な理解を行う手だてもあったかもしれない。しかし、タチの悪いことに、実際の彼は非常に勤勉な男だった。日が昇る前に畑に出かけてゆき、日が落ちても月明かりの下で働く。それが祖父の生活であった。それほどまでに必死で働いていながら、家庭にはまるでお金を入れない。奇妙な生き方だ。 祖父はいったい何のために働いていたのだろう? 母の話によれば、祖父は畑仕事で得たわずかな利益の全てを
『週刊ダイヤモンド』特別レポート ダイヤモンド編集部による取材レポートと編集部厳選の特別寄稿を掲載。『週刊ダイヤモンド』と連動した様々なテーマで、経済・世相の「いま」を掘り下げていきます。 バックナンバー一覧 民主党が参議院選挙で惨敗した。菅直人首相が消費増税を宣言したことが主因だという。だが、少子高齢化も国の多大な債務も、これ以上の財政再建の先送りを許しはしない。そのとき、いかなる経済政策が最も有効なのか。菅政権の看板は、「第3の道」──増税による経済成長である。公共事業による「第1の道」、小泉構造改革の「第2の道」とは何が違うか。政府主導の「新成長戦略」は時代錯誤か。最先端を行く経済学者たちが、“カンノミクス”を斬る。(「週刊ダイヤモンド」副編集長 遠藤典子) 6月末、カナダ・トロントで開かれたG20首脳会合(サミット)の共同声明には、「ストラクチュアル・リフォーム(Structura
先日スウェーデンで開かれた国際社会政策学会で報告してきた呉学殊さんと話していて、「たった5%の消費税を上げるのに猛反対するのが人気を博するような日本はもう終わりかも」という話から、その理由として考えた話ですが、ちょうど「dongfang99の日記」というブログで書かれていた「年長世代の「小さな政府」志向」ともつながる話なので、簡単に。 http://d.hatena.ne.jp/dongfang99/20100725 >近年支持が高い政治家や政党に共通しているのは、ラディカルな「小さな政府」路線であることである。 >そしてさらに気になるのは、どうも年金生活に入っているような、本質的にラディカルな改革を好まないはずの年長世代のほうが、こうした政治手法への支持がより高いらしいことである*1。年金・医療への関心の高さから言って、この世代が本当の意味での「小さな政府」を望んでいるとはとても思えない
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く