神社信仰といえば日本固有の信仰と考えられることが多い。だが、跡見学園女子大名誉教授の岡谷公二さん(84)は新著『神社の起源と古代朝鮮』(平凡社新書)で、滋賀、福井、島根などの多くの神社に、古代朝鮮の王国・新羅(しらぎ)の刻印が残ることを伝える。 前作『原始の神社をもとめて』(同)と合わせると、古代には東アジアに共通する原初の信仰が広がっていたことを感じさせる。 新羅崎(しらぎざき)神社、新羅善神堂(しんらぜんしんどう)、新羅(しんら)神社……。滋賀県や福井県などには今もこうした名称の神社が残っている。白木(しらぎ)神社、白鬚(しらひげ)神社など新羅を思わせる神社を含めると、「新羅系神社」は相当数に上るという。岡谷さんはこれらを一つひとつ訪ね歩き、『日本書紀』や各地の風土記を読み解きながら、古代における「新羅系渡来人」の流れを浮かび上がらせる。「製鉄技術などが朝鮮半島から伝わったと考えると、