一般社団法人つくろい東京ファンド 稲葉剛(48)/「困っている人との対話を通してしか、本当に必要な事業は生まれない」が信条。2014年、東京都中野区に空き家を利用した生活困窮者のための個室シェルター「つくろいハウス」を開設。現在は都内4区に23部屋(撮影/編集部・渡辺豪)この記事の写真をすべて見る 社会が抱える課題の一つ、ホームレス問題。彼らを取りまく現実を知り、その支援に取り組む人がいる。 1994年、冬の東京・新宿。地下通路にずらっと段ボールの「家」が並ぶ光景に、息をのんだ。しかし、それさえ「強制排除」され、野宿者が凍死する現実。 「路上で人が死なない社会に」 稲葉剛さん(48)が、ライフワークとして「ホームレス問題」に取り組む決意をしたのはこのときだ。25歳だった。 広島市出身で「被爆2世」として育った。学生時代は第1次イラク戦争(湾岸戦争)の反戦デモを企画するなど平和運動に取り組ん