メキシコでタクシー車両や自家用車として愛用されている日産「ツル」は、消費者団体による安全性テストで星ゼロを付けられた悪名高い車でもある。すでに生産は終了しているものの、いまだ多くの人がツルへの愛着を捨てられずにいるという──。 タクシー運転手のロベルト・ビジャヌエバ・グランセスは、メキシコ・ベラクルス州の州都ハラパで、35年間タクシーの運転手をしている。彼は市内を走るほぼすべての道を記憶しており、「ほとんど体が覚えてるんだ」と話す。 丘陵地帯に広がる人口75万人の都市ハラパで、そう言えるのは並大抵のことではない。自動車が普及する何世紀も前に発展したこの街は、急カーブ、突然の道路の名称変更、九叉路などのオンパレードだ。タクシー運転手は、この都会の迷宮を案内するエキスパートであり、個人と公共交通機関をつなぐ役割を担っている。 病院の前を通り過ぎるとき、ビジャヌエバは言った。「定期的にここに人を
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