今、プロレスはオカダ・カズチカや棚橋弘至らスター選手の活躍により再び脚光を集め、女性ファンを筆頭に若いファンが増えている。しかし、かつて栄光と挫折があったからこそ、現在の新たなプロレス人気があるのも事実だ。『1976年のアントニオ猪木』をはじめ、様々なプロレス・サーガを書いてきたノンフィクション作家・柳澤健氏。最新作『1984年のUWF』は現在のプロレスと総合格闘技を結ぶ歴史書として、新しいプロレス入門書とも言えるものになっている。『さらば雑司ヶ谷』『日本のセックス』などで知られる小説家・樋口毅宏氏は、昭和プロレスファンならわかる大小のエピソードをふんだんに盛り込んだ『太陽がいっぱい』を引退作とした。前田日明に愛憎を抱えるこむずかしいプロレスファンと自認する樋口毅宏氏が柳澤健氏に、UWFの時代がなぜ今書かれるべきだったのかを問う! 樋口毅宏(以下 樋口):今回の『1984年のUWF』は初代