イラスト 小幡彩貴 アンデス山脈のクスコで高山病に苦しんでいる話の続き。コカの葉を噛みながら、さらなるコカの葉を求めて町を歩いた。歩くと言っても、マラリヤで熱が四十度あったときみたいに体がだるく、息が切れる。周囲の現地人はみんな、すたすた早足で行き来しているのに私だけ「一人エベレスト状態」。全く情けない。 でもコカがあるだけマシなのだ。そうでなければホテルからも出られなかっただろう。 コカの葉はてきとうに噛むが飲み込まないで、ほっぺたに寄せてチュウチュウとエキスだけを吸う。吸い尽くしたらペッと吐き出す。ちょっと痺れるような苦みがあるが、まずくはない。むしろ、美味いと思ってしまうのは、私がアフリカのソマリ人エリアで愛好している覚醒植物カートに味が似ているからだ(カートは新鮮な葉を噛むが)。 摂取の方法も同様。ソマリランドの人間はせっかちなためかカートを飲み込んでしまうが、イエメン辺りでは口の
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