似ている。あまりにも構図が似ている。あの大学スポーツに端を発したスキャンダルと……。 2008年F1第15戦シンガポールGPは、長いF1の歴史に汚点を残すレースとなった。史上初のナイトレースで繰り広げられた劇的なドラマが、実は仕組まれたものだったのだから。チームのボスから指示を受けたドライバーがわざと壁にぶつかって派手にクラッシュし、セーフティカーが出動するように仕向けたのだ。それも、下位グリッドに沈んだチームメイトがトップになるようなタイミングで。 わざとクラッシュしてマシンを壊したドライバーはネルソン・ピケJr.(F1参戦時の登録名はピケ)。彼に指示を出したのは、ルノーF1チームのマネージングディレクター(実質的なボス)を務めていたフラビオ・ブリアトーレである。策略のおかげで優勝を手にしたのは、フェルナンド・アロンソだった。 ブリアトーレはチームのボスであるだけでなく、ピケJr.のマネ