新潟県佐渡市の住宅で1月、一家3人が亡くなっているのが見つかった。59歳の息子が病死し、その後、91歳の父親と88歳の母親が相次いで衰弱死したとみられる。50代の無職や引きこもりの子を80代の親が養う「8050問題」が社会問題化して久しい。一家に何があったのか。【池田真由香】 「家の中で人が倒れている」。松の内も明けない1月6日午前10時35分、119番が消防に入った。佐渡市小木地区の民生委員、斉藤一司さん(69)からだった。3人とも外傷はなく、消防は「明らかな死亡状態」として病院に搬送せず、事案を県警佐渡署に引き継いだ。同署は遺体や周辺の状態から事件性はかなり低く、一家心中でもないと判断した。 佐渡市南西部にある小木地区。女性船頭が操る「たらい舟」で有名な港町として知られ、佐渡汽船の小木―直江津航路の玄関口でもある。だが、冬季はフェリーが運休し、記者が足を運んだ1月中旬には静かな冬を迎え